ビジネス

2022.12.15 10:00

数字では絶対に読めないヒット。商品アイデアは「ラブレター」にあり

使い手への愛こそ最強


バイオの切り口ではなく、デジタルテクノロジーを伴ったハードウェアの切り口で立ち上げている点に、世の中を健康にしたいという程氏の思いが表れている。popIn時代の「popIn Aladdin」も、issinの「スマートバスマット」も、身近な人へのラブレターのようなプロダクトだと私は感じた。

新しい商品として何をつくるかを考える際には、マーケットのトレンドや、先行する商品との差別化、ユーザーリサーチ、自社の強みからの発想など、さまざまなアプローチがある。どのアプローチからもヒット商品は生まれているかもしれないが、身近な人を思った「ラブレターのようなプロダクトアイデア」は、使い手層の解像度が高く、ニーズを深くとらえたものになる。つくり手の熱量も自ずと高くなるので、ヒットする可能性が上がり、結果として、成功の近道になる──そう気づかされるエピソードだった。

スペックや理屈だけでなく、使い手への愛情を併せもった商品やサービスが、結局は消費者に愛される。ハードウェア商品は、その実現や事業の難易度もとても高いものだといわれるが、連続発明家である程氏には、これからもその背中を見せ続けてほしいと思う。


なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。

文=中山亮太郎 イラストレーション=岡村亮太

この記事は 「Forbes JAPAN No.101 2023年1月号(2022/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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