この夏、東大発スタートアップのpopIn(ポップイン)が、自社のヒット事業であるIoTプロジェクター「popIn Aladdin」を世界的なスマートプロジェクター大手のXGIMI(エクスジミー)に事業売却をしたというニュースを目にした。
実は、popIn創業者の程涛(ていとう)氏とは、「popIn Aladdin」デビュー時にMakuakeを使ってもらった縁で親交がある。久々にいろいろ話をしたいと思って連絡をしたところ、ゆっくり話を聞くことができた。
程氏はpopInの代表を退任し、新たにissin(イッシン)というヘルスケアデバイス関連のスタートアップ事業を創業。今年4月に、同社のファーストプロダクトとして、体重やBMIを測れるスマホ連動型のバスマット「スマートバスマット」の先行販売をMakuakeで開始し、そちらもとても順調な売り上げを記録したのだ。
なぜ、こうも難易度の高いデジタルハードウェアにおいて、次々とヒットプロダクトを生み出すことができるのか──。それを知りたくて程氏にさまざまな話を聞いたところ、とてもシンプルな答えにたどり着き、足元の大切なことを再確認する時間になった。
もともとpopInはネイティブ広告事業を展開する会社だったが、程氏が自身の家庭に目を向けたことから、あの大ヒット商品が生まれる。程氏は、家族が一緒にいながらスマホで別々の画面を見ていることに違和感を覚え、全員で同じものを見て家族だんらんの時間をつくりたいと思っていた。
そんなとき、壁に何かが投影されることが子どもにとって自然な学びにつながることに気づき、知育の観点から、オンライン連動のプロジェクター付きシーリングライト「popIn Aladdin」を開発したのだ。
新作の「スマートバスマット」も、自身が40歳に近づき、家族のためにも自分自身が健康を保たなければという思いから、どうすれば体重管理を自然に継続できるかという視点に立ち、考えたものだった。実は私も程氏と同じ年齢で、今年40歳になったこともあり、この観点にはとても共感できる。
いすに体重計を連動させてみたり、玄関マットにしてみたりと試行錯誤を繰り返した結果、風呂上がりの一歩目を体重測定のタイミングにするのが最適という結論に至り、バスマットとして商品化することになったという。