状況は改善するとチームを説得して鼓舞することは非常に良いアイデアに思えるが、楽観主義には良い有利な結果が生まれるという概念以上のものがある。
研究からは、楽観主義は消極的な状態ではないことが多いと示されている。楽観主義者は、能動的な貢献を条件として良いことが起きると期待しているのだ。つまり楽観主義者は、こうしたポジティブな結果を生むために能動的に動くことになる。
リーダーが、能動的な参加という楽観主義の一要素を覚えている限り、これは一般的に良いアプローチだ。しかし、楽観主義が有害なポジティブ思考に変わるとうまく行かなくなる。
会社のリーダーが全てうまく行っているように取り繕おうと無理をしていると感じたことや、「良くないことに注目するのはやめよう」といった警告で気まずい会話を抑えていると感じたことがあれば、それはおそらく有害なポジティブ思考だ。
有害なポジティブ思考は過剰なゆがんだ形のポジティブ思考で、どれだけ切迫した、あるいは悲惨な状況だとしても全ての体験に肯定的な解釈を加えようとする。有害なポジティブ思考は、上司があなたのネガティブな感覚を認めなかったり、「もしかしたら不幸中の幸いかもしれないよ」のような陳腐な否定の言葉を述べたりする場合に生じることがある。
楽観主義と有害なポジティブ思考の大きな違いは、楽観主義は不快な現実を否定しないことにある。楽観主義は実際、人々が逆境や困難に直面しているときに見られる場合が多い。
一方で、有害なポジティブ思考は一般的に考えられているよりも広く共有されている。筆者のコンサルティング企業リーダーシップIQの調査「Resistance To Change In Organizations(組織内の変更に対する抵抗)」では、自分の働く組織はいつも、組織が直面する課題を率直に共有していると考えている従業員はわずか約15%であることが判明した。一方42%は、自分の会社は課題を決して、あるいはまれにしか共有しないと答えている。
これには思わぬ結果が付いてくる。自分の会社はいつも直面している課題を共有していると考えている従業員は、会社を素晴らしい雇用主として勧める確率が約10倍だったのだ。