「国会の多様化」が社会を豊かにするわけ

村上財団代表理事の村上玲

世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」(2022年版)で、日本は146カ国中116位。なかでも、国会議員(衆議院)の女性比率は9.7%と低く、政治分野では139位だ。

そんななか、旧村上ファンドの村上世彰が創設した村上財団が立ち上げた、若手の女性政治家を増やすための「パブリックリーダー塾」が注目を集めている。

政治家志望の10〜30代の女性を対象とした教育プログラムで、100万円の経済支援も行う。塾生10〜20人の募集に対して200人近くの応募があったという。代表理事・村上玲に話を聞いた。

──パブリックリーダー塾を始めた理由は。

村上財団は2016年の設立以降、「教育」「子どもの貧困」「働く女性」「ジェンダーギャップ」をテーマに社会課題解決に取り組むNPO法人に対して、寄付などの支援を行ってきた。セーフティネットからこぼれ落ちてしまった人たちへの支援を現場で行う支援先団体との対話がきっかけだ。

支援先団体が活動する過程で見えてきた政策の不備、不足点について政策提言した際、積極的にサポートしてくれる存在の多くが女性政治家だという。女性政治家が少ない現状は、支援先団体の声が議会に十分に届いていないとも言える。女性政治家を増やし、NPO法人の活動のサポーターを増やし、政策提言などにつなげることで、社会課題の解決につながると考えている。

──女性政治家が増えることによるポジティブな影響とは。

国会をはじめ、議会が多様化することで、「多様な政策立案」につながることは研究結果でも明らかになっている。国会の多様化は、子ども・教育、女性、家族、社会福祉をはじめ女性が重視する社会課題の現場の声が政策化することや、外交や産業分野でも女性の視点が入る意義がある。

それは、社会全体にとって、よりよい政策がつくられることにもつながるのではないか。

村上玲◎村上財団代表理事。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。三菱商事、INSEAD(欧州経営大学院)経営学修士取得を経て、2022年1月より現職。

文=Forbes JAPAN 編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.099 2022年11月号(2022/9/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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