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2022.12.11 12:00

マツダの歴史ある「ロードスター4時間耐久レース」が熱い


まずは、予選で山田君はポールポジションが獲得できるほどの素晴らしい走りを見せたけど、最後の1周で彼のベストラップ1分9.889秒が破られ、0.1秒の差で予選2位をゲット。そして、レースのスタート・ドライバーを務めた僕は、ガソリンの消費と、激しいバトルを繰り広げるトップ集団のドライバーたちとの衝突回避を気にしながら、最初の数周を回った。



最初の30分以内でハンディを消化しなければならないということで、僕は20分目でピットインして90秒間待ち、レースに戻った時は11位だった。そして、僕の45分のスティントが終わって、ドライバー交代で坂本君(グランツ開発者)にバトンタッチした時は、11位から変わらず。

坂本君に4時間レース初出場の感想を聞いたところ、「驚くほどグランツーリスモとレースの感覚が一緒で、走るフィーリングはとても近いと改めて感じました。バーチャルとリアルにはほとんど差がない。違いがあるとしたら、リアルの場合、コーナーでGを感じることと、周りで本物のマシンをバトルをしていることかな」と答えた。

でも、ドライバー交代をすると1分半以上のタイムロスになるので、当然、順位がぐーんと落ちる。右京さんがコースに戻った時には、13位に落ちていた。

右京さんから菅原君(グランツ・プレーヤー)にバトンタッチした時は、3位。ここで20リットルの燃料補給ということで3分止まることになる。だから、菅原君がコースに戻った時は、11位に落ちていた。しかし、彼は一流ゲーマーだし、本物のロードスターのスプリント・レースに優勝できるほどのスキルの持ち主。チーム監督からのガソリンをセーブしようという指示があったので、ペースを落として15秒から18秒台の間をキープしながらも、だんだんとポジションアップ。このドライバー4人目のスティントは、多くのチームがガソリン消費をセーブする時なので、他のチームもペースダウンする。

交代の様子

そして、最後のドライバー交代で、菅原君からグランツの開発ドライバーも努める山田君にバトンタッチをした時は、何とトップに立っていた。ガソリンを十分セーブしたおかげで少し余裕があり、同氏は14秒台で走ってトップとの差を少しずつ縮めようとした。フィニッシュまで18分のところで、トップを走行していたティーポ・チームとの差は40秒。

そして、山田君はティーポにだいぶ近づいた時に、ティーポがいきなりスローダウンし、1分25秒台まで落としていた。よーし、チャンスだと思って、山田君を少しペースアップさせ、結局最後の周回でトップとの差1.2秒で準優勝を果たした。惜しかった! 右京さんも「あと1周してたら、勝てたな」と言っていたけど、その1周をさせないように走ったのが、優勝経験が豊富なティーポの作戦だったのか。

やはり、ウチのドライバーは元々レースの経験もあるけど、グランツでバーチャルに練習した甲斐があったように思う。若いけれど、子供の頃から何万回もつくばサーキットを「走って」いるしね。正直なところ、来年はリベンジして一番高いところに立ちたい。でも、表彰台に乗るチームには翌年厳しいハンディがつく。今回準優勝の僕のチームには、来年3分以上のハンディがつくので、はたしてどうなるかな?

このレースを含む番組NHKワールド「サムライ・ホィールズ」の放送日は12月30日。
アプリ、ケーブルTVでも視聴できる。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター ライオン

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