持ち家がある場合、一般的に住宅ローン完済後には住居費を抑えられたり、持ち家を貸し出すことで収益を得たりできるため、老後に収支を合わせやすくなると言われる。しかし持ち家があっても、老後の経済状況がなかなか厳しいという現実を浮き彫りにするデータが発表された。
SBIグループのSBIエステートファイナンスは、持ち家がある60歳〜65歳の男女395名を対象にして、「老後破産」に関する調査を実施した。
将来、年金(厚生年金と国民年金)のみで家計収支はプラスになるか、という質問には、「いいえ」の回答が80.5%、「はい」は19.5%。年金だけで生活できるのは約5人に1人という結果に。
年金と将来想定される年金以外の収入(株式や不動産収入等)で家計収支はプラスになるか、と聞くと「いいえ」の回答が60%。「はい」は40%にとどまった。
老後破産の不安があるかという質問には、全体で約4割が「ある」と回答。その割合は、「年金とその他の収入を合わせても家計収支がプラスにならない」と答えた人で最も高い52%となったほか、「年金のみで家計収支はプラスになる」という人でも15.6%、「年金とその他の収入で家計収支はプラスになる」と回答した人でも17.9%という結果になった。
さらに、将来想定される年金と年金以外の収入について尋ねたところ(複数回答可)、個人年金保険が39.2%で最も多く、次いで株式などの配当収入(37%)、確定拠出年(25.3%)、不動産収入(10.4%)という順に。一方で年金以外の収入がないと答えた人の割合は、15.9%となった。
いずれの収入源がある場合でも、「老後破産の不安がある」と回答した人は約3割存在し、その割合は「年金以外の収入が無い」では約6割に上った。
今回の調査は持ち家のある人を対象にしているが、昨今のウッドショックや原材料高などにより住宅価格は高騰。マイホームを買えない、あえて買わないという現役世代も少なくないだろう。そうなると、老後の住居費として相応の金額を見ておかなければならない。
人生100年時代、「一体いくつまで働けばいいのだろう……」という現役世代の大きな不安の声が聞こえてきそうだ。
※参考:令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況