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2022.12.10 09:00

400年前の沈没船のエメラルドを使った指輪が120万ドルで落札

Sotheby's Previews New York Luxury Week Auctions(Photo by Alexi Rosenfeld/Getty Images)

約400年前に沈没したスペインの船から発見されたエメラルドをセットした指輪が120万ドル(約1億6000万円)で落札され、その収益のすべてがウクライナの人道支援活動に寄付される。

オークション会社のサザビーズは当初、この指輪の最高落札額を7万ドルと予想していたが、その15倍以上の金額で匿名の買い手が落札した。

この指輪にセットされた6.25カラットのエメラルドは、1622年に現在のフロリダ州沖で嵐の中で沈没し、乗組員のほぼ全員が亡くなったスペインの有名なガレオン船(16~19世紀に用いられた大型帆船)の「ヌエストラ・セニョーラ・デ・アトーチャ」号から発見されたものだ、

1985年にダイバーでトレジャーハンターのメル・フィッシャーが、アトーチャ号の船体を発見し、18万枚の銀貨や24トンのボリビア産の銀、125本の金の延べ棒に加え、コロンビア産エメラルドの原石を回収したと発表した。

発見された宝物の一部は、フィッシャーの探検に資金を提供した世界有数の鶏肉会社「パーデュー・ファームズ」の創業者の故フランク・パデューCEOに贈られた。彼は、船内で発見されたエメラルドの一つを、1988年に妻のミッツィにプロポーズする際の婚約指輪にカットしてもらった。

フランク・パデューは、2005年に亡くなり、妻のミッツィは今年、ウクライナの人道支援グループに寄付するために、この指輪を売ることにした。「亡くなった夫は、私が知っている人の中で最も人道主義的な人だった。彼からの贈り物をこうして利用することを、彼も喜んでいるはずだ」と、彼女は声明で述べている。

ササビーズによると、ミッツィ・パデューは今週ウクライナに向かう予定という。

アトーチャ号の財宝の価値は、1985年に4億ドルとされたが、この金額はインフレ率を考慮すると現在の価値で11億ドルになる。

1600年代にキューバで建造されたアトーチャ号は、スペインが本国と植民地の間の貨物輸送のために使っていた船で、沈没時には中南米からスペインに帰国する貴族たちの荷物を載せていた。

フィッシャーが沈没船を発見したと発表した際に、フロリダ州はこの船の所有権を主張したが、最高裁判所はトレジャーハンターたちの所有権を認める判決を下した。財宝は、発掘にあたったチームと投資家に分配された。フィッシャーは1998年に死去した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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