マスクに代わり1位に浮上したのはLVMH会長のベルナール・アルノーだ。マスクとアルノーの資産額の差はわずかなものだが、マスクの順位がアルノーを下回るのは、2日間で3度目となった。
アルノーの資産額は8日の午前9時30分(現地時間)現在、推定1851億ドル(約25兆3000億円)で、マスクの資産額の1841億ドルを10億ドル上回った。彼の資産額は、その前日の7日の日中に2度にわたってマスクを追い抜いたが、米国市場が閉まる午後4時頃にはマスクが再び1位に返り咲いていた。
テスラの株価は年初から50%以上下落しており、下落のほぼすべてがマスクがツイッターを440億ドルで買収すると発表した4月中旬以降に起きている。テスラはまた、中国のゼロコロナ政策に影響を受けたサプライチェーンの問題にも直面している。
マスクは、440億ドルの買収資金の捻出のため、130億ドルをツイッターに債務として負わせたのに加えて、63億ドルを個人向け信用融資で調達しようとしていた。しかし、彼は最終的に個人向け信用融資を中止し、代わりに自身の現金と他の投資家からの80億ドルの出資約束で買収資金の残りを調達した。
テスラの投資家は、マスクが信用融資でマージンコールを受け、さらに株を売らざるを得なくなることを心配していた。彼は4月中旬から11月上旬までに193億ドル相当のテスラ株を売却したが、これは買収資金を調達するための売却だったと思われる。
しかし、ツイッターが負う年間の金利負担が推定10億ドルと、すでに苦境にあるツイッターにとって重すぎる負担になるなかで、マスクは再び信用融資に関心を示し始めたのかもしれない。ハイテク企業の株価は4月以降に暴落しており、ツイッターの価値は、マスクが支払うことで合意した440億ドルよりもはるかに低くなっている可能性が高い。
一方、ユーザーや広告主は、マスクが実施したプラットフォームへの多くの変更に否定的な反応を示している。その代表的なものが、アカウント認証に月額8ドルを課すことと、コンテンツのモデレーションを緩和することだ。
マスクとアルノーの資産額の差はわずかなものであり、マスクが再び世界一の富豪に返り咲くことも十分考えられる。しかし、マージンローンを巡る最新の動向は展開は、マスクにとっても、テスラの投資家にとっても、良いものではなさそうだ。
ウェドブッシュ証券のダン・アイブズは、「テスラの株主にとっての悪夢は続く」と述べている。
(forbes.com 原文)