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2023.03.01 16:30

本命登場。メルセデスEQSがフラッグシップたる理由

石井節子

まずはEQS450+を試す

最初に試乗したのは、EQS450+。こちらは、フロア下に容量107.8kWhの新世代バッテリーを配置し、モーターと補機類を組み合わせた電動パワートレイン「eATS」をリヤに搭載する後輪駆動モデル。車検証を確認したところ前後重量配分は47:53とフロントまわりが少し軽くなっている。モーターは0回転から568Nmと大トルクを発揮するだけに、BEVでは特に発進、加速時にどういうチューニングを施すかが重要になる。

走り出してみると、アクセルペダルへの入力に対して過敏に反応することなく、少しタメをもたせたようなメルセデスの内燃エンジンモデルと似たふるまいをみせる。ステアリング操作に対するノーズの動きはもちろん正確だけれどもとても軽快。21インチの大径タイヤを装着しているがエアサスペンションによってしなやかに路面をトレースしていく。

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またいわゆる四輪操舵のリアアクスルステアリングを標準装備しているため取り回しもいい。標準設定は最大4.5度になっており、最小回転半径は5.5m。今後はオンラインで有償オプションとして10度になるソフトが販売される。これをインストールすれば最小回転半径は5.0mに。ここまでくればCクラスよりも小回りがきくということになる。10度という角度もすごいけれど、ステアリングの切れ角を機械的なものでなく、ソフトウェアでアップデイトできるのも、なんともすごい時代だ。

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走行中の回生のレベルはパドルシフトを使って3段階(D+、D、D-)で調整が可能。これ以外にAutoモードがあり、前走車との距離をセンシングするなどして自動で調整してくれるもので市街地などではこれがもっとも使いやすかった。またEQSのウリは、BEVのなかでも秀でた静粛性の高さにあるが、逆にエンターテイメントとして、起動音や人工的なエンジン音や回生音をならすこともできるサウンドエクペリエンスが備わっている。イメージの異なる3種類の音が用意されているのだが、どれも既存の内燃エンジン音とはまったく異なる未来的なもの。スポーツモードで走行する際には、BEVならではの加速感とあいまってワープするような感覚が味わえる。

AMG初のBEV、AMG EQS 53 4MATIC+の印象は?

もう1台の、AMG EQS 53 4MATIC+にも試乗した。こちらはAMG初のBEVでもある。エクステリアでは、最近のAMGモデルの証である垂直ルーバーをもつ“パナメリカーナ”フロントグリル風のデザイン採用。もちろんそこには実際のグリルがあるわけではなく、超音波センサー、カメラ、レーダーセンサーなどを内蔵している。21インチアルミホイールもスポーティな専用デザインとなり、タイヤもEQS450+がグッドイヤー製のノイズ軽減タイヤを装着するのに対して、ミシュランのパイロットスポーツEVというBEV専用スポーツタイヤを履いていた。

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文=藤野太一 写真=三浦孝明

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