デジタル時計と聞くと、多くの人は液晶表示をもつクォーツ時計を連想すると思う。実は機械式時計にもそれは存在し、長い歴史を刻んできているのである。
瞬時に時間が変わるデジタル時計は、19世紀に懐中時計で開発されている。しかしディスクを回すという動作は強力なパワーを必要とするので、難しかったらしく長続きはしなかったようだ。
その後、腕時計にも見られるようになったが、表示される数字はとても小さかった。それでも大きな広がりを見せることはなかった。
そんな機械式デジタル時計も21世紀に入り画期的なモデルが登場した。それがA.ランゲ&ゾーネの「ツァイトヴェルク」だ。
ダイヤルには幅いっぱいに翼を広げたようなブリッジがあり、左右に並んだ時と分をデジタル表示する大きな数字を際立たせる効果をもたらしている。その下側にセットされたアナログ式のスモールセコンドが、両側の数字のバランスをとるように置かれている。時分秒という時間計測の3要素が調和したデザインである。
そして、その時分秒が連動している様子は美しく、特に時間の最後から次の時間の始めに、時、分(十の位)、分(一の位)と3枚の表示が一斉に切り替わる瞬間は、まさに目がくぎ付けとなる。
しかも、この「ツァイトヴェルク」の表示は、ビッグデイト級の大きさである。時分を表示するためのディスクがとても大きく、それを瞬時に動かすための強力なパワーが必要となる。そのため普通の機械式時計に載せると精度は維持できないほどだ。「ツァイトヴェルク」は強力なトルクに加え、時計を動かすトルクと時間表示を動かすトルクを切り分けることで、重い回転ディスクを動かす瞬間でも、精度を安定させることに成功している。
そしてこの新作では、A.ランゲ&ゾーネは、そのトルクに手をつけてきた。パワーリザーブをこれまでの36時間から、なんと72時間へと倍増させたのだ。つまり完全に巻き上げると、パワーを必要とする数字ディスク3枚の時刻表示を、4320回切り替えるだけのエネルギーが蓄積されるのである。ものすごいパワーである。
また、操作性も向上させており、4時位置のプッシュボタンで時表示だけ進めることができるようになった。これは時差調整のとき非常に便利で、グローバル時代に合わせた進化ともいえる。
ブランド再興の祖、ウォルター・ランゲは「決して立ち止まらないように」という言葉を残す。A.ランゲ&ゾーネの革新的アプローチは今後も続いていくだろう。
1. 12時位置にあるパワーリザーブインジケーターはアナログ式で扇状に表示される。スモールセコンドの反対側にあり、バランスもいい。3枚のディスクを動かす構造で72時間は驚異的だ。
2. 4時位置側面に置かれたプッシュボタン。時間表示を簡単に進めることができ、非常に便利である。
ムーブメント|自動巻き Cal.L043.6
ケース素材|プラチナ
ケース径|41.9mm
価 格|要問い合わせ
問い合わせ|A.ランゲ&ゾーネ 0120-23-1845