日常という奇跡に祝杯を挙げる、卓越したバランスのシャンパーニュ

美酒のある風景 Vol .56「ローランペリエ・ペリエ ラ キュベ」

Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は12月号(10月25日発売)より、「ローランペリエ・ペリエ ラ キュベ」をご紹介。スタンダードタイプのシャンパーニュとしては異例のクオリティと深い味わいをもつ1本だ。


「なんでもないようなことが幸せだったと思う」という有名な歌詞がある。パンデミック以降の数年間、私は何度このフレーズをリフレインし、考えてきただろう。人と出会い、談笑し、時には議論しながらも酒を酌み交わすという、なにげなく行ってきたことを封じられ、それまで何の変哲もない日常だと思っていたことがいかに特別なことであったのか、身をもって知ったからである。

いま、ようやく以前のペースを取り戻しつつあるなか、世の中のすべてがまぶしく見えるのだ。秋の日差しに影を伸ばす街路樹の道を散歩する。気になっていたバーにふらりと入ってみる。学生時代の友人たちと旧交を温める……どれも特別ではない日常の出来事が小さな奇跡のように思え、祝杯を挙げたくなるのだ。

そんなときに選ぶのはやはりシャンパーニュ、それも卓越したバランスのよさで万人から愛される「ローラン・ペリエ ラ キュベ」だ。「ローラン・ペリエ」は1812年に創業した老舗シャンパーニュ・メゾン。徹底した家族経営で「フレッシュさ」「エレガントさ」「バランスのよさ」という3つの要素を共存させる独自のスタイルを確立。

その名刺代わりともいえるこの「ローラン・ペリエ ラ キュベ」は選び抜かれた100以上のクリュ(畑)から手摘みされたブドウの一番搾り果汁を使用。通常のノンヴィンテージ・シャンパーニュが15カ月の熟成を義務付けられているなか、最低でも4年間の熟成を経て出荷されるという、スタンダードタイプのシャンパーニュとしては異例のクオリティと深い味わいをもつ。

この「ローラン・ペリエ ラ キュベ」にあわせてボリュームたっぷりのステーキサンドイッチを薦めてくれたのは「パレスホテル東京」メインバー Royal Barのチーフバーテンダー大竹学だ。

「旧『パレスホテル』時代に20年間、毎週木曜12時にラウンジでこのサンドイッチを食べていた常連のお客さまのお名前をつけてこのほど復刻いたしました」という「Nick’s 国産牛フィレステーキ サンドウィッチ」もまた、我々の手元に戻ってきた日常の喜びのひとつであろう。

その常連客はいつもボルドーの赤ワインを合わせていたというが、「ローラン・ペリエ ラ キュベ」とともに味わえば、ミディアムレアに焼き上げられた牛肉のうまみをシャンパーニュの豊かな果実味がしっかりと受け止め、もうひと口、もうひと口と欲しくなる。特別ではない、日常という小さな奇跡に快哉を叫びたくなるようなペアリングである。

ローラン・ペリエ ラ キュベ


容量
|750ml
ぶどう品種|シャルドネ50-55%、ピノ・ノワール 30-35%、ムニエ 15-20%
価格|8195円(カタログ価格)
問い合わせ|サントリー https://www.suntory.co.jp/

今宵の一杯はここで

メインバー Royal Bar

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「ローラン・ペリエ ラ キュベは食前から食中、食後まで楽しめる万能のシャンパーニュです」と大竹学氏。

60年余りの歴史を刻む名門バー

1961年開館という歴史ある「パレスホテル」が2012年に「パレスホテル東京」として新たな歴史をスタートさせた際、旧パレスホテルの初代チーフバーテンダー今井清が設計した当時のカウンターとともに引き継がれた、パレスホテルの歴史を象徴するバー。独特の曲線を描くカウンター、ガラス張りにしたバックバーなど美しく、落ち着きのある空間で飲む1杯は格別だ。

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「Nick’s 国産牛フィレステーキ サンドウィッチ」6300円。

photographs by Ryoma Yagi|text and edit by Miyako Akiyama

この記事は 「Forbes JAPAN No.089 2022年1月号(2021/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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