一方、最近になって、グロース株に代わり大いに勢いを増しているのがバリュー株だ。さらに投資家にとってうれしいことに、バリュー株がグロース株を運用実績で上回る傾向は今後も続くと専門家は見ている。
金融会社GMOは、最近発表した2022年第3四半期リポートで、こう記している。「バリュー株への投資チャンスは終わったのか? という問いについて言えば、我々が見る限り、明らかにその答えは『ノー』だ」
バリュー株とは、利益やキャッシュフローなどの、企業の経営状態を示す主要な指標で比較した場合に、割安の状況にある株を指す。
一方、グロース株とは、「売上や利益が、市場平均より速いペースで成長することが見込まれる企業の株」だとインベストペディアは解説している。さらにこうした株は、バリュー株と比較して割高に見える傾向がある。
いずれにせよ、バリュー株には、最近になって値を戻す動きが見られる。その一方で、アップルやメタ、グーグルなど、テック系企業の多くが含まれるグロース株は急落している。
例えばヤフー・ファイナンスによると、上場投資信託のバンガード・バリューETF(VTV)は、11月30日までの3カ月で4.4%値を上げている。一方、バンガード・グロースETF(VUG)は、同期間に約7%の下落を記録した。実際、VUGの下げ幅は、テック系の企業が多いNASDAQ総合指数とほぼ同じだ(こちらも参照元はヤフー・ファイナンス)。
バリュー株の株価上昇がグロース株を上回る傾向は、今後も続きそうだ。
グロース株とバリュー株のバリュエーションの差を数値化したいわゆる「バリュエーション格差」は、歴史的な低水準にある。先述したGMOのリポートは、現状を以下のように説明している。
「9月末の時点で、バリュー株のバリュエーションは、(より割高な株の平均値と比較して)0.72を記録していた。この値は、これまでの実績で見ると11パーセンタイルに位置する。確かに、4パーセンタイルだった1年前と比べれば上昇しているものの、これまでのレベルに戻ったとはとても言えない状況だ」
リポートは、こうアドバイスしている。「バリュー株を買い建てし、グロース株を売り建てする組み合わせが、最も強くお勧めできるポジションだ」
では、投資家はどのような行動をとるべきだろうか?
GMOの分析を信じるなら、バリュー株の上場投資信託(ETF)を買い、グロースETFの借株を売却するのが、成功戦略になるかもしれない。
例えば、バンガード・バリューETFを買って、次にバンガード・グロースETFの借株を売る、といった戦略だ。
通常であれば、投資家が借株を用いて空売りをするのは、より安い値でその株を買い戻し、利益を確定させたいと考えるからだ。
だが、今回のケースでは、このような投資行動をとる必要は必ずしもない。バリューETFの価格上昇幅がグロースETFを上回るだけで、利益を手にすることが可能だ。逆に言えば、両方のETF価格が下落した場合でも、バリュー株のほうがグロース株よりも下落幅が小さければ、この投資戦略で利益を得られるということだ。
もちろん、未来を正確に予測することは、誰もできない。また、グロース株への投資を加速させた低金利政策が、予告なしに復活する可能性もある。その場合、この投資戦略がうまくいかなくなる可能性は高い。つまり、この戦略のリスクが増し、損失を被る可能性があるということだ。
(forbes.com 原文)