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2022.12.08 08:30

米警察が使用の「殺人ロボット」、サンフランシスコは導入中止

Gorodenkoff / Shutterstock.com

サンフランシスコの市議会に相当する監理委員会は先週、警察が「市民や警官の生命が失われる危険が差し迫っている場合」に殺人ロボットを使用することを承認した。しかし、この決定が反発を招いたことを受けて、12月6日にこの判断を撤回した。

殺人ロボットの賛成派は、爆発物を搭載したロボットが大量殺人犯のような危険な容疑者と対峙する上で有効で、警察官の命を守ると主張している。しかし、サンフランシスコ市の決定は警察権力の危険な拡大であると主張する人々の反発を招き、市役所前で抗議デモが行われた。

サンフランシスコ警察は、新たなポリシーの下でも、調査のために所有しているとされる12台の非武装のロボットを使用することを許可されている。

アメリカ自由人権協会(ACLU)の北カリフォルニア支部は「殺人ロボットで街が安全になることはない。警察は黒人や有色人種を疫病のように扱っている」とツイートした。

一方、サンフランシスコのロンドン・ブリード市長は、ニューヨーク・タイムズ(NYT)に寄せた声明で「警察が命を救うためにこれらのツールを使うことを認める必要がある」と述べている。

2016年にはテキサス州ダラスの警察が、警官2人が殺害され数人が負傷した事件で、C-4爆薬を積んだロボットを使ってスナイパー1人を殺害した。全米のほとんどの地域では、殺人ロボットの使用に関する明確なガイドラインがなく、警察は広範な武力行使ポリシーの下でロボットを使用するかどうかを独自に判断している。

それでも警察が容疑者を無力化するためにロボットを使用することは極めて稀で、使用を検討する警察署はしばしば激しい批判にさらされている。ニューヨーク市警が昨年、導入を試みたロボット犬は、Netflixのドラマ「ブラックミラー」のディストピア的エピソードで描かれた殺人ロボットに似ているとの批判を浴び、リース契約の終了に追い込まれた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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