エディス・コーワン大学(ECU)の博士課程に在籍し、この研究の著者の1人であるプラティック・ポカレルは、プレスリリースの中で「ゆでたジャガイモ、マッシュポテト、フライドポテト、クリスプポテトを比べてみると、ゆでたジャガイモは糖尿病の高いリスクとは無関係でした。何の影響もなかったのです」と述べている。「これまでの研究では、ジャガイモは調理法に関係なく、糖尿病の発症と正の相関があるとされてきましたが、私たちはそれが真実ではないことを発見しました」
ポカレルはさらに「デンマークでは、さまざまな調理法でジャガイモを消費しています。今回の研究で、調理法の違いを区別することができました」と公式声明で付け加えている。
ポカレルたちは「Danish Diet, Cancer and Health study」(デンマークの食事、がん、健康の研究)という名の長期的な研究プロジェクトで、5万4000人から報告された摂取食事内容を分析した。これらの被験者の中で、16年以上の追跡期間中に2型糖尿病が7695例記録された。さらに分析すると、この中でジャガイモの摂取量が最も少なかった参加者は、2型糖尿病のリスクが9%高いことも明らかになった。
しかし、これは主にジャガイモを多く食べている人の方が、野菜の摂取量も全般的に多く、一般的にBMIが低くなっていたためだった。そうした野菜の中にはほうれん草、ブロッコリー、レタスなど、アブラナ科の野菜として知られる緑の葉物野菜も含まれている。
ポカレルは「今回の研究では、ポテトを最も大量に食べる人は、2型糖尿病のリスクを高めるとされるバター、赤肉、ソフトドリンクも多く摂取していました」という。「それを含めて考慮すると、ゆでたジャガイモはもはや糖尿病との関連は認められません。関連するのはフライドポテトとマッシュポテトくらいですが、たとえば後者はバターやクリームなどを使って作るのが普通です」
さらにポカレルは、白米と比べるとゆでたジャガイモは食物繊維や栄養素が豊富で、はるかに健康的であると付け加えた。2型糖尿病の20~79歳における世界的な有病率は、2021年には5億3700万人となった。その数は、2030年には6億4300万人にまで増加すると予想されている。
デンマークの5万4000人の参加者をもとにデータを検討した結果、「野菜を食べている人の中で最も消費されている3種類の野菜(ジャガイモ、トマト、ニンジン)の摂取量の中央値は(10〜49)g/日でした。こうした集団では、ゆでたジャガイモが最もよく消費されていました」ということが判明している。
「最近のレビューでは、ほぼ90%の国(136カ国中119カ国)で野菜の平均摂取量が世界保健機関(WHO)の勧告を下回っていることが示されたため、これは重要なことなのです」と彼らは付け加えた。「ジャガイモはグリセミック指数(GI値、食後の血糖値上昇の指標)が高く、過剰に摂取すると体重が増加することが示唆されていますが、ジャガイモの調理方法や食事の状況(ジャガイモを他の食品といっしょにどのように摂取するか)が総カロリー摂取量に影響するのです」
(forbes.com 原文)