ゼロコロナ緩和で上昇の中国株に手を出すな、専門家が助言

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中国では北京や上海などの主要都市が週末に新型コロナウイルス関連の規制の緩和を発表したことで、12月5日の香港株式市場のハンセン指数は4.5%上昇した。上海では、公共交通機関などでのPCR検査結果の提示義務が解除され、北京、広州、杭州などの大都市でも規制が緩和された。

新規感染者は急増しており、日曜日には1日4万人を突破したが、アナリストによれば、当局は大規模なロックダウンなどの昔のやり方に戻ることはないという。これを受け、ハンセン指数は年内に2万ポイントを超える急騰のチャンスがあるとキングストン証券の香港在住リサーチ担当者は述べている。

「新型コロナウイルスは、まだ非常に高い水準にあるが、中国政府がポリシーを変えつつあることは明らかだ」と、同社のディッキー・ウォンは述べている。

ゴールドマン・サックスのエコノミストのキンガー ラウも、国営メディアのチャイナ・デイリーに「現状で3%の中国のGDP成長率は、2023年には4.5%に回復すると予測する」と語っている。香港のEverbright Securitiesの証券ストラテジストのケニー・エンは「恩恵を受けるのは消費関連と航空関連の企業だ」と述べている。

「来年は今年よりもボラティリティが低下する」と彼は指摘し、中国の金融緩和政策と並んで、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースが遅いことも大きな理由だと説明した。エンはまた、景気の低迷と規制の圧力の中で時価総額が低下したインターネット業界も回復基調にあると述べた。

ビリオネアのポニー・マーの保有資産は、香港に上場しているテンセントの株価が5日に5%上昇したことを受け、わずか数時間で15億ドルも跳ね上がった。

しかし、香港の投資アドバイザーKaiyuan Capitalの最高投資責任者のブロック・シルバーズは、「投資家は過度に楽観的であってはならない」と警告している。彼は、中国にとって新型コロナウイルスは、「他の重要な問題を悪化させる傷になる」と話す。政府は、富裕層への課税を通じて富の蓄積を抑制する「共同富裕」の推進に依然として熱心であり、不動産セクターへの支援も、販売済みだが停滞している住宅プロジェクトの引渡しを確実にすることに限られている模様だ。

「中国は依然として厳しい景気後退に直面している。不動産と銀行セクターは再編を切望し、米中関係は悪化しており、世界の金利も上昇している。コロナ前の世界が戻ってくるのは、まだずっと先のことだ」と彼は述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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