VCは今回の決定について、スローな成長戦略で市場を制するという自社の哲学に一致するものであり、また倫理的信条を実践するものであると述べている。
小売プラットフォームが社会問題に関して立場を明確にするのは、近年稀に見る出来事だ(ただし、米最高裁が2022年6月、女性に中絶の権利を認めてきたロー対ウェイド判決を破棄した際には、多くの企業が意見を表明した)。
自社のプラットフォームでファストファッションを扱い続ければ偽善者の誹りを免れない、とVCは述べている。グローバルなファッション業界が、環境破壊の主要因のひとつであり、発展途上国の労働者を低賃金で使い続けていることは周知の事実だからだ。
VCのグローバルPRマネージャー、アレイ・ディオプ(Alais Diop)によれば、幹部社員は全員がこの決定に賛同したという。では、飽きられたファストファッションアイテムは、VCで第二の人生を送ることができなくなった今、どこへ行くのだろうか? 言うまでもなく、これまでもそうだったように、埋立地だ。
earth.orgによれば、毎年生産される1000億点の衣類のうち、9200万トンはファッション廃棄物として埋立地に行き着く。衣類を満載したゴミ収集車が毎秒1台、埋立地に積荷をぶちまける計算だ。
VCが取り扱いの終了を宣言した、H&MやSHEINといったブランドでは、セール品のドレスやスカートがわずか9ドルほどで売られている。
小売アナリストで、スピッカーマン・リテール(Spieckerman Retail)のプレジデントであるキャロル・スピッカーマン(Carol Spieckerman)は、約5年前の創業以来、ファッション市場の動向を注視してきた。