マーク・ザッカーバーグなどのメタの経営陣は、一般人と著名人が対等に扱われると長い間主張してきたが、この主張は昨年9月、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が、「VIPユーザーを通常のモデレーションプロセスから保護する秘密のルールが存在する」と報じたことで崩れ去った。
WSJは、約600万人の著名人がクロスチェックの対象とされていると報じていた。このシステムは、影響力の強いユーザーが利用規約を破っても、ほとんど影響を受けずに済むようにするものとされる。ブラジルのサッカー選手のネイマールは、2019年に彼からレイプ被害を受けたと告発した女性のヌード写真を投稿したが、その写真は「同意のない親密なイメージ」の投稿に関するプラットフォームのルールを破ったにもかかわらず、1日以上掲載され続けていた。
メタは、クロスチェックの目的を、一般市民を有害コンテンツから守り、同社が掲げる価値観を実現するためと說明しているが、実際のところは、「著名ユーザーの怒りを買ったり検閲を非難されることを避けたいという同社の願望によって推進されている」と監督委員会は述べている。
同委員会は、クロスチェックに「大幅な改善」を求め、主要な測定基準の公開や監査の実施、透明性の向上、評価中のコンテンツの非表示(現在は審査中も公開のまま)などの32の提言を行った。
メタの国際問題担当プレジデントであるニック・クレッグは、この勧告に完全に対応し、90日以内に報告書に返答すると述べた。クレッグによると、同社はすでにより正式な基準の導入や、年次レビューの確立など、いくつかの側面を変更しているという。
メタは、監督委員会の勧告に対応しなければならないが、それを実行に移す義務はない。いくつかの勧告は、メタにとって容易に実施できるものだが、モデレーションの担当スタッフの増員など、より困難なものもある。メタは、多くのハイテク企業と同様に、ここ最近、大幅な人員削減を発表している。
「メタは、一部のユーザーだけでなく、すべてのユーザーに利益をもたらす方法で、コンテンツの適正化を図る責任がある」と、同委員会の報告書は述べている。
(forbes.com 原文)