新型コロナPCR検査がクローン人間作成に利用されているというトンデモ主張

新型コロナのPCR検査を受けると自分のクローン人間を作られるというデマ情報が蔓延している(Getty Images)

悪い冗談はもうやめよう。PCR検査はクローン人間を作るために使われているという根拠のない主張を聞いたことがあるだろうか。

このFacebook(フェイスブック)投稿に埋め込まれた動画を見た人も多いかもしれない。新型コロナウイルスの存在を調べるためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査について上に挙げたような主張をしている。


Facebookより(スクリーンショット)

ご覧のとおり、フェイスブックはこの動画に「虚偽の情報。独立した第三者ファクトチェッカーがチェック済み」というラベル付けをしている。これは一部の人がいうフェイスブックが「言論の自由」を抑圧しようとしているからではない。そうではなく、フェイスブックのファクトチェッカーがこれまでに、科学や証拠や一般的現実性と一致しない多数の動画で「clone(クローン)」という言葉を見つけていたからだと考えられる。

たとえば「PCRキットが新型コロナのテストのためであったことはありません……あれはクローン作成装置です」や「これはNIH(国立衛生研究所)が認めていることです。ウェブサイトにある『分子クローニング・ポリメラーゼ連鎖反応:細胞工学のための教育の手引』という題名の研究に書かれています」

PubMedウェブサイトにインデックスされている2015年のJournal of Biological Engineeringの掲載論文を見つけることと、NIHのウェブサイトに何かを掲載することは、同じではない。National Library of Medicine(国立医学図書館、NLM)は確かにPubMedを運営しているが、PubMedに掲載されるすべての出版物の内容を保証しているわけではない。

さらに2015年の論文を読めば、そこにPCR検査がクローン人間の作成に使われていることなど書かれていないことがわかる。
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翻訳=高橋信夫

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