そのような背景もあってか、今年、Avery Dennison Smartracが実施した英米仏中日の5カ国の消費者7500人を対象にした調査によると、買い物をするときに意識するポイントは、「品質」(67%)、「コスト」(60%)に続いて、「耐久性」が48%と3番目の関心ごととなりました。およそ半数の消費者が商品の耐久性を気にしていることが分かったのです。
ファーストリテイリングの柳井取締役も、2022年の11月に行われたサステナビリティ方針説明会で「長く着続けるためのリペアサービスや、リセールによって新品を買う機会はもしかしたら減るかもしれないが、『どうせ買うならリペアやリセールができるユニクロで買おう』と思ってもらえれば、新たなビジネスチャンスを生む」と話していました。これは、まさに大きな潮流の転換点を示していると言えるでしょう。
求められるのはプロダクトジャーニーの透明性
耐久性(デュラビリティ)が高ければ製品のライフサイクルは長くなり、簡単には廃棄されにくく、サステナビリティに寄与することができるでしょう。また、二次流通市場における価値も維持しやすく、製品によっては新品に近い金額で再販できるかもしれません。
ただし、そのようなサイクルを実現するためには、「その商品はこれから先どのくらい使い続けることができるのか」という買い手にとっての関心に、売り手はできるだけ応えていく必要があります。具体的には、再販する際に「過去の所有者はいつどこで買ったのか」「どのくらいの期間使ったのか」といった購買・利用履歴などの商品の付帯情報(プロダクトジャーニー)への透明性が求められるでしょう。