キャリア・教育

2022.12.09 08:40

転職戦線、異状あり。プロフェッショナル人材の採用が7倍に

田中友梨

そして3つめの変化が、「生え抜き至上主義からの脱却」だ。これまで大企業での転職組の扱いはどちらかといえば“非主流”で、たとえ高度な専門性を持っていても「社内で主流には行けない外様」という色合いが強かった。だが今では、転職組が役員のような経営幹部になることも当たり前になっている。

平均年収が若いほど高い?


このように、激変期を迎えているプロフェッショナルの転職市場。勝ち抜く人材が持っている要素とは、どのようなものなのだろうか。意外にも、プロフェッショナルの転職市場では、巧みな自己PRはそれほど役に立たないという。

「プロフェッショナル人材の採用では、自己PRはあまり参考にされません。それよりも重視されるのは、実力です。大手であれば、自己PRの上手な人材を採用して失敗した経験もあるでしょう。こうした経験を経て、多くの会社が実力最重視となってきているのです」

プロフェッショナルのキャリアを長年に渡って支援し続けているコトラだが、同社も徹底した実力主義を貫いている同社のコンサルタントの約2割が年収2000万円を超えているが、実力ある人材には、年齢や社歴に関係なく報いているのだ。

その事実を最も表しているのが、年代別の平均年収。2021年の20代の平均年収は1532万円。一方で、30代は1029万円、40代は969万円、50代は961万円と、若いほど高い傾向にある。一般的には、経験を重ね人脈を培ってきたベテラン世代のほうが成果を上げやすいようにも思えるのだが、これは一体どういうことなのだろうか。

「現在のような時代の激変期に人材紹介をする際に禁物なのは、先入観です。『この業界であれば、こんな人材が向いている』『こういう性格の人は、この企業に合うはず』といった従来の価値観で判断していては、企業にも候補者にも、最適な提案はできなくなってしまいます。従来の常識にとらわれない若い世代のほうが、むしろ成果を上げやすい側面がありますね」

最後に、長年プロフェッショナルのあり方を見つめ、関わり続けてきた大西社長に、今この国に求められるプロフェッショナル像を聞いた。

「プロフェッショナルの条件とは、徹底的に成果にこだわることです。ですが、ただ単に成果だけを追っているようでは、一流のプロフェッショナルとは言えません。モラル、お客さま、仲間、そして会社の利益。仕事に取り組むうえで、この順番を間違えない人こそ、真のプロフェッショナルではないでしょうか」

文=下矢一良

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