ビジネス

2022.12.26 09:00

食 x ホスピタリティ x イノベーション—創業75周年の企業が挑むおもてなしの未来像


──それが、社是 「人に喜ばれてこそ、会社は発展する」となり、今日までの発展を支えてきたわけですね。



はい。我々は人とのご縁を大切にしながら事業を大きくしていきたいという思想が全社的に浸透しています。

その後、二代目にあたる田沼千秋現社長が就任し、彼の先見性や強力なリーダーシップのもと、我々は学食や社員食堂から、今のヘルスケア事業に繋がる病院給食や高齢者施設向け給食事業、小学校向け学校給食にも次々と進出してきました。一方、「とんかつさぼてん」をはじめとするB2Cのレストラン事業やテイクアウト事業も展開しています。

さらに、今から約20年前からになりますが、ホテルマネジメント事業も展開しており、食の提供からホテルマネジメントまでを提供する「総合ホスピタリティ事業」を展開する会社に成長しています。

──フードサービス、ホテルマネジメント事業と、それぞれコロナの影響があったと思います。

弊社のBtoB事業のお客様にあたる病院や高齢者施設はほとんど影響を受けませんでしたが、多くの企業が在宅勤務を推奨した結果、社員食堂は大きく売上を落としました。宴会等もキャンセルが続き、レストラン事業やホテル関連事業に影響を受けています。またキャンパスに通う学生も物理的に減りましたので、学食関係の売上も落ち込みました。一方、それまで積極的に手掛けていなかったテイクアウト事業が伸び始めたりと、ピンチをチャンスにできた事業もあります。

──そうした苦境の時期にGreeneX Plusが誕生するわけですね。


グリーンハウス GFMS常務執行役員・村岸栄一氏

はい、現社長の田沼千秋は常に新しいチャレンジを実行する思考の持ち主であり、彼が社長となってから今の事業の基礎となる横展開を積極的に推し進めてきた経緯がございます。例えば、我々のホテル事業への進出を果たしたのも、我々が今グループで傘下に持つブランドを次々と立ち上げてきたのも現社長です。またコロナ禍ではありませんが、社内ベンチャー事業のヘルステックアプリ「あすけん」も現社長の代に立ち上がりました。

彼の強い思いと実行力、そしてコロナ禍という社会情勢も重なるなか75周年を迎えたことを機に、今の時代に求められる新たな食とホスピタリティを社会実装しようという機運が高まりました。その結果、外部との共創を積極的に取り入れながら自社の既存事業を改善していくべく、このGreeneX Plusが立ち上がりました。

──GreeneX Plusの狙いを教えてください。

脱・労働集約型事業モデルの実現と、フードサービス業界全体の変革を牽引することです。我々のような「食を提供するサービス」を手掛ける業界では、未だに労働集約型事業モデルに依存しており、これは大きな課題です。またデジタルの活用も遅れているのも事実です。もちろん、「人が調理をしてサービスをご提供する」ことは、おもてなしをご提供させていただく我々にとって大切であり、決して何でも自動化が最適解であるとは考えていません。しかしながら、世の中でこれほどデジタル技術が進んでいる中、活用できることはあるのではないかという思いが芽生え始めました。



さらに、コロナ禍で業界全体の根幹が揺るがされる昨今、フードサービス産業全体が変革をしないといけないという強い思いもあります。業界全体を活気づけるぐらいのつもりで新しいことにチャレンジし、未来の食サービスの世界を創っていくことこそ我々の狙いです。
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文=熊谷伸栄

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