ビジネス

2022.12.26 09:00

食 x ホスピタリティ x イノベーション—創業75周年の企業が挑むおもてなしの未来像

世界のホスピタリティ産業では、様々な産業セクターでここ数年加速し続けている「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の流れに沿って、AIやスマートテクノロジーを活用した様々な取り組みが活発化している。下図はStartUs Insights社が公開した「Top 10 Hospitality Trends & Innovations in 2023」のうち、2023年の旅行、観光、ホスピタリティ業界のトップ10トレンドの影響度を図解したものだ。


出所: StartUs Insights社「Top 10 Hospitality Trends & Innovations in 2023」より引用し、筆者が加筆修正

特徴的なのは、自動化だろうか。旅行、観光、ホスピタリティ産業が長年課題としてきた現場への依存度の高さからの脱却とサービスレベルの向上を目指している点を表していると言える(例:スマートフォンでのチェックインの簡素化、室内設備の遠隔操作、キッチンオペレーションの効率化、等)。

ホスピタリティ業界の中でもフードサービス産業において長年課題とされてきたのが、その労働集約率の高さだ。日本生産性本部のデータによれば、就業1時間あたりの業界別の労働生産性を見ると、「宿泊・飲食サービス」は、「農林水産」「その他サービス」に次いで3番目に低い(出所:2018年度 日本生産性本部「主要産業の労働生産性水準」)。

こうした中、日欧米で今急速に伸び続けている「フードテック」の先端的なテクノロジーを積極的に取り込み、フードサービスならびにホスピタリティ産業全体の改革と活性化に繋げようと取り組む会社がある。今年、創業75周年を迎えたグリーンハウスだ。

新たな「食×健康×ホスピタリティ」のイノベーションを創出する「GreeneX Plus」を立ち上げたグリーンハウス


同社は、構想作りから約3年の歳月を経た今年3月、本社の入る東京オペラシティタワー42階にオープンイノベーション空間「GreeneX Plus」を開設。「食と健康+食とホスピタリティ×新しいアイデア」というコンセプトのもと、最新技術の展示から各種実証実験、外部との共創に取り組んでいる。

既に国内大手企業とは最先端技術を駆使した実証プロジェクトを開始し、国内スタートアップやシンガポールをはじめとする海外の有力スタートアップとも実証実験を進めている。GreeneX Plusプロジェクト推進部隊を全社的に率いる村岸栄一常務執行役員に、同社が目指す「食×健康×ホスピタリティ」の新たな未来像についてお話を伺った。

──グリーンハウスの生い立ちについてお聞かせください。

1947年、先代の社長である田沼文蔵が慶應義塾大学の予科の寮の学生の食事の世話をする仕事から創業したのが始まりです。その後、戦後復興と共に企業の社員食堂にも展開していくのですが、慶應の卒業生が学生時代にお世話になったという想いから、卒業後の就職先企業の社員食堂も是非手掛けてもらいたいと田沼に相談が来た、というエピソードがあります。このように人とのご縁が弊社の事業拡大の原点となっています。
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文=熊谷伸栄

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