これは確かにプラスの成長だが、以前の予想と比べると鈍化している。IWSRは以前、酒類のEコマースの価値が2020年から25年の間に55%増加することを予想していた。
実店舗への客足が通常に戻る中でEコマースは減速している。マクロ経済的見通しが弱まり、新型コロナウイルス感染症が広がる前の購買習慣が復活していることにより、こうした停滞が生まれているのだ。
IWSRドリンクス・マーケット・アナリシス(IWSR Drinks Market Analysis)で戦略インサイト責任者を務めるガイ・ウォルフは「新型コロナウイルス感染症が流行する中で増加したEコマース売り上げは、今後数年で抑制される見込みだ。しかし、この経路はまだ、アルコール飲料市場全体において重要な成長けん引要素だ」と述べている。
ウォルフは「成長率が下がっているにもかかわらず、2021年から26年のオフトレード(ネットやスーパーなど施設外で消費するための購入)分野での量の増加分は、ほぼ全てEコマースからもたらされるだろう」と述べた。
新たなIWSRのデータからは、ネットで購入する消費者の動機が変化し始めていることが示されている。買い物客は『信頼されるブランド」』と『強い価値提案』を好み、消費者は生活費が増え景気後退が迫る中で値段を優先している。
「消費者が酒類をネット購入するきっかけは、生活費の高騰とともに変化している」とウォルフ。「以前のコロナ禍の成長率を達成することは現実的ではないだろうが、現在の経済状況に合わせることで、Eコマースのチャネルを経営するブランドオーナーもまだ健全な成長を達成できる。酒類のEコマースの分野には、引き続き多くの機会がある」と述べた。