以前、ワールドカップとは「サッカー国力」の勝負であると書いた。足で行なうサッカーは偶然性のスポーツである。そのため、番狂わせはつきものだ。ただ、何試合かやれば必ず総合的な実力差は現れる、と。
日本代表はW杯の「第3グループ」
優勝するに値するサッカー国力のある「第1グループ」は南米大陸ならばブラジル代表とアルゼンチン代表。欧州大陸では、フランス代表、ドイツ代表、スペイン代表、イングランド代表、そして今大会は出場していないがイタリア代表が入る。代表チームのクオリティに加えて国内リーグの水準も高い国だ。
「第2グループ」はコンスタントにベスト8に入る力のある国だろうか。オランダ代表、ポルトガル代表、近年のベルギー代表などだ。フランス代表やスペイン代表はワールドカップで何度か足踏みした後、この第2グループから第1グループに昇格した(フランス代表は1998年大会で地元開催という地の利を生かして初優勝まで手にした)。
この枠組みにおいては、南米の小国であるウルグアイ代表や南欧のクロアチア代表の評価は難しい。ピッチ上の実力では、ウルグアイ代表、そして前回のロシア大会準優勝のクロアチア代表は「第2グループ」に入る。
しかし、である。クロアチア共和国の人口は約410万人に過ぎない。静岡県よりも多いが、大阪府よりも少ない。絶対的な母数が少ないなかで、選手を磨き、育ててきた国である。サッカー国力の中で重要となる、スポンサーからの支援、医療などを含めたロジスティクス(後方支援)では第1グループの国はもちろん、日本代表にも劣る。
ベスト16を一度も勝ち抜いたことのない日本代表はその次の「第3グループ」だ。グループリーグで優勝候補のドイツ代表、スペイン代表に勝利したことで、両国よりも格下のクロアチア代表には勝てるのではないかという空気が日本中にあった。しかし、対戦してみると、FIFAランク12位のクロアチア代表は、やはり「格上」だった(日本は24位)。
PKをセーブするクロアチアGKリバコビッチ(Photo by MB Media/Getty Images)
スコアこそ1対1だったが、クロアチア代表の選手たちのほうがサッカーというスポーツの本質を理解していた。