テクノロジー

2022.12.10 15:00

生命が存在したかもしれない土星の衛星「タイタン」の画像公開

ケック望遠鏡が撮影した2022年11月7日のタイタンの画像。北半球の11時と1時の位置に明るい点が見える。クレジット:NASA/STSCI/KECK OBSERVATORY/JUDY SCHMIDT

ケック望遠鏡が撮影した2022年11月7日のタイタンの画像。北半球の11時と1時の位置に明るい点が見える。クレジット:NASA/STSCI/KECK OBSERVATORY/JUDY SCHMIDT

NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)とハワイのケック天文台が、土星最大の衛星タイタンの近赤外線画像を撮影した。
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新しい画像の数々は、この巨大衛星の北半球にある最大のメタン海であるクラーケン海の近くに雲があることを明らかにした。タイタンは太陽系において地球以外で唯一、川や湖や海のある天体で、そこには水ではなく液体のメタンやエタンが流れている。これらの炭化水素(他に水やアンモニアも)は、巨大な衛星に雲や雨ももたらす。

JWSTの画像(2022年11月4日に撮影され初公開された)は、大気中の雲を2つ明らかにした。その後科学者たちは地球最大の光学望遠鏡であるケック望遠鏡を使ってわずか30時間後にタイタンの存在を確認した。

「タイタンを翌日、翌々日にケック望遠鏡で見たとき、雲がなくなっていることを心配しましたが、うれしいことに雲は同じ位置にあり、形が変わっているように見えました」とカリフォルニア大学バークレー校大学院教授のイムケ・ド・ペーターはいう。
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ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が2022年11月4日に撮影した土星の衛星タイタンの画像。(左)タイタンの下層大気に対して感度の高い2.12マイクロメートルのフィルターF212Nを使用。明るい部分は北半球の顕著な雲。(右)NIRCamの複数のフィルター使用、青=F140M(1.40マイクロメートル)、緑=F150W(1.50マイクロメートル)、赤=F200W(1.99マイクロメートル)、輝度=F210M(2.09マイクロメートル)。表面のいくつかの地形にラベルがつけられている。Kraken Mare(クラーケン海)はメタン海と考えられている。Belet(ベレト)は濃い色の砂丘、Adiri(アディリ)は明るいアルベド地形(NASA, ESA, CSA, WEBB TITAN GTO TEAM IMAGE PROCESSING: ALYSSA PAGAN [STSCI])

JWSTは地球からは見えない赤外線で天体を観測できるため、雲や煙霧の高度を驚くべき精度で特定できる。「JWSTのスペクトロメータとケックの高品質な光学画像を組み合わせることによって、タイタンのほぼ完全な画像を得ることができます」とペーターはいう。タイタンの濃厚な大気は、表面が可視光では見えないことを意味している。

生命の本質的な化学的成分がこの大気に存在している。そのため科学者は、これが生命誕生以前の有機化学を研究するための実験室であり、地球の生命の構成要素を提供したのかもしれないと考えている。
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翻訳=高橋信夫

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