佐藤直樹は、海外でのビジネス経験からその市場に可能性を感じ、2021年5月に、ラグジュアリーブランドを中心とした洋服・バッグ・靴などのシェアリングサービス「HIVE Collective」を立ち上げた。
原点になったのはロンドンでの経験
ビジネスアイデアのベースになったのが、新卒入社した伊藤忠商事での経験だ。ヨーロッパを中心に、国内外で中古スマホの再販事業やスタートアップ投資などを担当してきた。
もともと起業に興味があったわけではなかったが、パンデミックが転機となった。ロンドン駐在中にコロナ禍となり、ロックダウンで外出もままならない中、自身が社会人人生で学んできたこと振り返った。
「中古スマホの再販では、iPhoneのようなブランドは需要が高く、在庫があればあるほど売れるような状態。在庫を保管する倉庫のオペレーションも経験したことで、中古市場のポテンシャルや商流を学べました。加えて、ロンドンで投資先の発掘から投資実行まで経験したことで、スタートアップ企業と投資企業の両面からスタートアップについて深く知ることもできました」
そうして自然と、「自分も挑戦したい」と思うに至った。2021年4月にロンドンから帰国すると、6年間勤めた伊藤忠を退職した。
事業内容は、ロンドンのスタートアップの先行事例にヒントを得た。
「日本よりサステナビリティが根付いているロンドンでは、自宅に眠るファッションアイテムを流動化させるスタートアップが出てきていました。そして、有名なデパートとの提携したり、ポップアップストアを展開するなどして、どんどん事業規模を拡大していた。日本国内には類似したサービスがまだ存在せず、チャンスだと思いました」
起業にあたっては、大学時代のゼミの仲間で、現在は同社役員の武田芳明と大出めぐみに声をかけた。佐藤は両親がブティックを経営していたこともあり、アパレル領域は馴染みがあって挑戦しやすかったのだという。