既存のリセールマーケットには限界がある
HIVE Collectiveは、会員になるだけで自宅のクローゼットに眠るアイテムを貸し出したり、借りたりすることができるサービス。フリマアプリのようにユーザーどうしがやりとりする個人間取引ではなく、運営はすべて企業側が行う。
ロンドンのスタートアップは、完全な個人間レンタルや、ブランドと提携したBtoBtoCのレンタルを手掛ける企業がほとんどだったのが、佐藤は日本市場に合わせてCtoBtoCという形を採用した。
貸し手は商品を企業に送るだけで、検品・商品撮影・保管・借り手とのやりとり・配送などの作業は不要。借り手は、レンタル日(4泊〜20泊)と日付を選択するだけで、商品価格(定価)の5〜10%程度の価格で商品がレンタルできる。
貸し手は、レンタル価格から片道送料を差し引いた金額の60%を収益として得られ、資産運用にもつながる。紛失や損傷など万が一に備えて、補償サービスもある。
「ハイエンドのアイテムを取り扱うため、安心して利用できるように、検品や真贋判定などは私たちが間に入ることで、しっかり対応できると考えました」
佐藤いわく、従来の買い取り・査定・販売といった国内のブランドリセールマーケットの構造には、「買い取りのハードルの高さ」という課題があった。ラグジュアリーブランドのアイテムは、購入価格が高額であるゆえに、持ち主がフリマアプリや中古買取事業者への出品などから最適な選択肢を見出せず、結果的に自宅で保管したままになっているケースが多い。その為、どの中古事業者も需要に対して、供給が足りていない状況だ。
「まさに中古スマホの再販と同じ現象と言えます。既存のリセールマーケットにおける供給量の確保に限界があるからこそ、クローゼットに眠っているものを流動化する事で供給を拡充できればと考えました」
クローズドβ版は2022年2月にローンチ。出品アイテム数とレンタル取引数は伸長を続け、現在は服やバッグを中心に約460点がレンタル可能となっている。
ユーザーからの反響も良く、出品から1カ月で約30万円の収益を挙げた貸し手もいるという。借り手は、すでにラグジュアリーブランドのアイテムを持っていて、ブランドのファンであるケースが多い。短期間から借りられるので、結婚式などのオケージョンなどで活用されている。