Novoが提供する当座預金口座は、ストライプや会計ソフトのクイックブックスなどの外部企業のツールと連携させて使用できる。
「大手銀行は長年、画一的な商品を提供し、顧客の側がそれに合わせるようなやり方を貫いてきた。しかし、私たちは中小企業が好きなツールを組み合わせて、カスタマイズ可能な当座預金口座を提供していく」とNovoの共同創業者でCEOのMichael Rangelは述べている。
Novoの昨年の売上は800万ドルだったが、今年は約2000万ドルを見込んでおり、顧客数は、2021年末の14万社から現在は約20万社に伸びている。Rangelによると、新規の顧客の約半分が大手銀行からの乗り換えで、残りの半分は新たに設立された企業だという。
近年は中小企業に特化したネオバンクの競争が激化しているが、Novoは、フリーランサーやTwitchなどで収益を上げるeスポーツチームなど、デジタルで運営する企業のニーズに特化して差別化を果たそうとしている。同社の顧客には、地域の歯科医院のような小規模な企業も含まれている。
Novoの競合のBrexは、6月に中小企業の口座を閉鎖し、エンタープライズ向けのサービスに重点を移すと発表した。Rhoは、売上高1000万ドルから10億ドルの中堅企業を対象にしている。Rampは、小規模な企業から大手企業まで幅広い顧客を対象としている。
ここ1年でフィンテック企業の評価額が急激に下がった中で、Novoの評価額アップは際立っている。Rangel によると、今回の3500万ドルの取引でGGVキャピタルには、残余財産分配に関する優先権(Liquidation preference)が与えられていないという。つまり、会社が失敗したり売却されたりしても、投資家はリターンを保証されないという条件だ。フィンテック関連の上場銘柄は年初来で47%下落しており、厳しい環境の中で資金調達をしようとするスタートアップは、投資家に優先権を与えて調達を行うのが一般的になりつつある。
GGVキャピタルのプリンシパルのRobin Liは、オブザーバーとしてNovoの取締役会に参加する予定という。Novoは、今年1月のシリーズBで、プライベートエクイティのストライプスの主導で9000万ドルを調達していた。同社は、フォーブスの「フィンテック50」や、「ネクストビリオン・スタートアップ」に選出されている。
今回調達した資金でNovoは、中小企業向けの融資プロダクトの開発を続ける予定という。また、Novo Boostと呼ばれるプロダクトを通じ、中小企業の資金繰りを効率化することを目指している。
(forbes.com 原文)