テクノロジー企業や製薬企業は、貿易の規制によって大きな損失を被り、こうした企業の収益は伸び悩むだろう。このことは、とりわけ欧州と米国にとって悪いニュースだ。両分野は、ここ数十年にわたって巨額の利益をもたらしてきたからだ。
米国ブロックにいる人々にとっては幸いなことに、「こちら側」の見通しは、中国ブロックと比べてずっと明るい。その理由を、報告書は次のように述べている。
「中国主導のブロックは、中国自身が大部分を占めているため、拡大が困難であり、経済成長が頭打ちになる可能性が高い。我々はこうした点を考慮して、中国の成長率は2020年代末までに2%にまで落ち込むと予測している」
中国にとって2%の成長とは、西側諸国にとっての経済の崩壊に等しい。
米国の貿易関係は、より広範囲を網羅しており、主要経済圏(西欧、日本、韓国など)を多く含むため、拡大の余地が大きい。
報告書の序文は、不吉な言葉で締めくくられている。
「危機が回避され、断裂が部分的なものにとどまるかぎり(数十年にわたったこれまでの経済的統合を、部分的に逆行するだけにとどまるかぎり)、経済と金融市場は、徐々に新たな環境に適応するだろう。だが、より不穏な可能性も考慮しておくべきだ」(筆者は、この最後の文章を強調したい)。
簡単にいえば、もし冷静な判断ができる人々が主導権を握らないようなら、「2陣営に分裂した貿易システム」も、「世界経済の全面的崩壊」に比べれば、天国のように見える可能性があるということだ。
そうした事態に至らないことを願おう。
(forbes.com 原文)