今後、メタバースなどのデジタル空間で可処分時間を費やす人が増えれば、フィギュアもデジタルアイテム化(NFT化)し、デジタル空間上の自分の部屋に飾る時代がくるかもしれない。だが、デジタルアイテムだけの制作より、リアルなものもセットでつくるほうが、当然、難易度が高い。私はそこに面白さを感じるし、価値を感じる。実際、雪駄(せった)とスニーカーをかけ合わせた「unda-雲駄-」という2万円前後の商品をデジタル化し、NFTとして1足100万円で売り出したところ、即座に完売したという話もある。
フィギュアにおいて繊細で多彩な表現をしていくには、モノづくりの質の高さは欠かせない。そういったリアルなモノにできる実現性を帯びたデジタルアイテム(NFT)は、その希少性から特別な価値を生むかもしれない。フィギュア市場がリアルだけでなくデジタル空間も含めた展開になったとき、またその市場の景色が一段上に変わっていくだろう。
モノづくりとアニメコンテンツの融合は、日本に一日の長がある。将来の進化潜在力のある領域として、楽しみに見ている。
なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。