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2022.12.06 08:10

モノづくり力+NFTで、フィギュア産業が大化けする

イラストレーション=岡村亮太

いわゆるオタク向けフィギュアの市場が、ここ数年でわずかだが拡張傾向に転じている。調査会社によると、2017年の国内市場は319億円だったが、21年には330億円に微増している。この市場は2次流通(中古)など商流が複雑で、これらに海外での販売も含めると、さらに大きな市場になると思われる。ちなみに中国でのフィギュア市場は、23年には1500億円規模になるといわれている。

フィギュア自体は、その多くが一般消費者への売り出し時に0次流通(無在庫での先行予約販売)を前提としていて、「Makuake」の先輩ともいえるビジネスモデルなので注目している。というのは建前で、私が無類のアニメオタクということもあり注目している。

私が面白いと感じたのは、インバウンドの影響がなくなったコロナ禍でも市場規模を広げたという点だ。コロナ禍ではアニメ好き外国人観光客の来日がほぼゼロになった一方、Netflixなど世界的な動画プラットフォームを介してアニメコンテンツのファンがつきやすくなった。巣ごもり需要でアニメファンの裾野が広がり、その流れでフィギュア需要も国内外で伸びたのだと思われる。

別の観点からも気づいたことがある。フィギュアの「モノづくり力」の著しい成長だ。最近発売されたフィギュアを手に取ってみてほしい。1990年代や2000年代前半に大ヒットしたコンテンツのフィギュアよりも、はるかに質が高い。これは日本だけでなく中国の工場を見ていても感じることだが、モノづくりのクオリティは、この20年で大きく進化している。モデリングや3Dプリンターなどのデジタル技術、量産クオリティとコストのバランスなど、日進月歩で向上しているからだろう。

社内制度づくりもモノづくりだ


市場が広がる半面、フィギュアの原型をつくる「原型師」の人材不足という課題もある。この問題に組織として取り組み、成果を上げているのが、業界のリーディングカンパニーであるデザインココ社(本社・仙台市)だ。アニメ「チェンソーマン」の等身大公式フィギュア制作をはじめ質の高い立体造形で定評のある同社は、手仕事が当たり前だったフィギュア制作にいち早くITを取り入れた。

優れた原型師に監修を任せ、制作現場には3Dプリンターなど新しい技術を積極的に導入。社内のインフラと育成制度で人材創出を図り、量と質を底上げしてきた。その取り組みは、アートでもあり工業製品のようでもあり、まさにモノづくりそのものだ。
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文=中山亮太郎 イラストレーション=岡村亮太

この記事は 「Forbes JAPAN No.100 2022年12月号(2022/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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