ビジネス

2022.12.07

全米で急成長カフェの「Kindness」経営が注目される理由

多様な人が集うサンタモニカの「La La Land Kind Cafe」


さらに、デジタルマーケティングでは、「DRIVE-BY KINDNESS」と題し、心からの褒め言葉を道ゆく人にかけて互いに微笑み合う動画を通して「Kindness(優しさ)」を広げるSNS施策を展開。TikTokで100万回以上再生され世界中のユーザーから多くの共感のコメントが寄せられたという。



人への思いやり、小さな優しいアクションが、社会を大きく変えていくことを日々証明しているこのカフェのコンセプトは多くの人の心を捉え、瞬く間に全米に店舗を展開し急成長を遂げている。

「私は、人々がお互いを愛し合う場所を作りたかったのです」というオーナーの言葉どおり、カフェに集まるポジティブなエネルギーを求めて足を運ぶファンが増え「Kindness(優しさ)」を広げるコミュニティになっているようだ。

社会をより良く変えるパワーを持つブランドは、混迷する時代を生きる私たちが求めているバリューを捉え、ファンをつくり、同じミッションに向けて共創し事業を拡大していけることがわかる。

「La La Land Kind Cafe」は、優しさという普遍的な価値をブランドの世界観を作り上げることで具現化し、社会的価値をつくっているマーケティングの成功事例と言える。

企業活動で「Kindness」が重要視される科学的な理由


「Kindness(優しさ)」を取り入れるマーケティングは、「La La Land Kind Cafe」だけではない。先日10月にニューヨークで開催された広告業界の専門家が集まるイベント「Advertising Week」では、「Kindness(優しさ)」をテーマにしたセッションがいくつか展開され、専門家たちがデータなどを交えながら解説しており、米国のマーケティングにおいて、「Kindness(優しさ)」が注目されている傾向が伺えた。

中でも、科学的な観点から「Kindness(優しさ)」の可能性を探究し米国の大手ブランドと多数のパートナーシップを結んでいるNPO団体「kindness.org」の活動は目を引いた。

同社の研究拠点となっている「KINDLAB」は、社会科学、行動科学などを活用し、人々の親切なアクションを集め分析。こうして得たナレッジを企業や商品のマーケティングに生かす活動をしているという。

チーフサイエンスオフィサーであるDr.Oliver Scott Curry氏は、「Kindness(優しさ)」を人との関係性を構築し助け合うことで進化してきたソーシャルアニマルである人間特有の資質と捉え、人との間で広がっていくその性質上、さまざまなコラボレーションを加速させる鍵になると示唆した。

この投稿をInstagramで見る

kindness.org(@kindnessorg)がシェアした投稿

次ページ > ご近所SNSとコラボする通信会社

文=田辺敦子

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事