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2022.12.10 18:00

坂本龍一が紡ぐKRUGのサウンドをフルオーケストラが体現した夜

筆者撮影

筆者撮影

長年のKRUGラヴァーとして知られる坂本龍一が、3種のKRUGを音楽として紐解いた組曲『Suite for Krug in 2008』を制作。今年9月、KRUGの音楽プロジェクト『KRUG ECHOES』の一環として全世界に公開された。
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11月初旬、その3種のKRUGと音楽のペアリングを体感するイベント『Seeing Sound, Hearing KRUG』が開催され、招待いただいた。

グランドピアノとフルオーケストラが入った会場で、KRUGの繊細な味わいと生音の組み合わせを味わえるという、文字通り「酔狂」を表現したような内容。9月のニューヨーク、10月のロンドンに続いて東京での開催となった。
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残念ながら闘病中の坂本氏の来場は叶わなかったが、2019年に依頼されてこのプロジェクトが始まったこと、その間にスタッフをランスに派遣し、インスピレーション元となるイメージやサウンドをサンプリングして曲を作り上げたことなど、今回の制作への思いを語った映像が流された。

「私の音楽とスピリットは今日ここに皆さんと共にあります。私がこの場にいないことがこのパートナーシップに影を落とすことはありません」と、淡々とした口調ではあったものの、芯の強いメッセージがゲストたちに響いていた。



ホワイエから隣接した特設の演奏会場に移動すると、指揮者の高井優希氏、ピアニストの中野翔太氏とともに、東京フィルハーモニー交響楽団が登場。組曲の第1楽章は、クリュッグ クロ・デュ・メニル 2008にあわせて作られたピアノソロだった。

「純粋で、単一区画から造られたこのシャンパーニュのために、主旋律であるテーマのアレンジは最小限に抑えました。この最小フォルムは、クロ・デュ・メニル 2008の離散的、新鮮で想像をかき立てられる感覚を表すものです」と坂本氏はコメントしている。

オーケストラを囲むように着席するゲストにクロ・デュ・メニル 2008が供され、ピアノが奏でられる。単一区画のシンプルさの表現にピアノの音だけで臨むというアプローチになるほどと頷かされ、残りの2曲も愉しみになった。

第2楽章は、2008年のブドウでブレンドされ、「クラシック・ビューティ」と名付けられたクリュッグ 2008とのペアリング。シャンパーニュがグラスで供され、演奏が始まる。弦楽器、木管、パーカッションで構成された楽曲にはフレッシュな輝きが見事に表現されていた。
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文=山本憲資

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