坂本龍一が紡ぐKRUGのサウンドをフルオーケストラが体現した夜

筆者撮影


そして第3楽章はクリュッグ グランド・キュヴェ 164 エディションにあわせて制作されたフルオーケストラの楽曲。400種の中から厳選した127種のワインをブレンドし、KRUGとして164回目の醸造となるグランド・キュヴェの豊かな風味が、オーケストレーションとシンクロする。

「このシャンパーニュの風味とアロマの豊かさは、誰もがその中に自分を関連づけて感動させる何かを見つけることを示しています。それぞれの経験は唯一無二なものです。この第3楽章は同じように、聴く人それぞれが違う何かを感じてくださることでしょう」(坂本氏)

楽曲を構成する一音一音とKRUGの原料として選びぬかれたブドウ、高解像度のオーケストレーションとそのワインのブレンドなど、音楽とKRUGのシャンパーニュに共通するスタンスを体現していくのが『KRUG ECHOES』プロジェクトの骨子だ。

シャンパーニュ KRUG

今回もKRUGに通じる繊細な泡のテクスチャーとシンクロする雰囲気が組曲全体に纏われていて、シャンパーニュのテイストの変遷を音楽で後押しされながら味わう。オーケストラの演奏とシャンパーニュのペアリング体験は他では聞いたことがない珍しい機会だが、料理とのペアリングとはまた違った、耳でも味わうマリアージュがそこにしっかりと存在していた。

そのあとは着席のディナーで、引き続きKRUGを味わうという華やかなプログラム。生音のパフォーマンスとシャンパーニュの贅沢な饗宴に酔いしれられるのも、コロナが一段落した今だからこそ。どちらか一方でも心に響く体験が見事なシンクロニシティで繰り広げられ、その熱量に酔いしれた一夜となった。

連載:山本憲資の百聞と一見の二兎を追う
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文=山本憲資

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