だが、今までのやり方では困難になった時こそ、新たなチャンスが生まれる。課題の中にあるこうした可能性を察知できる人が大きなアドパンテージを得ることも、周知の事実だ。ゆえに今は、自分を「意識の高いリーダー」へと変身させるのに、これ以上ない絶好のタイミングと言える。
意識の高いリーダーは、明確な意図を持ち、変化を察知し、覚醒しており、計画的で、思慮深く、成長と進化を続ける人物だ。こうしたリーダーは、大きなテーマを持つ問いを自らに投げかける。その例が、以下の5つの質問だ。
1. どこに注意を向けるべきか?:至急対応すべきだが些末な事柄と、目的やビジョン、ミッションや価値観といった大きな構想のどちらに目を向けているだろうか?
2. 他の人の成長に貢献できているか?:相互のやり取りの結果として、関わった相手を向上させるようなプラスの貢献をしているだろうか?
3. 情報収集の方法は適切か?:新たな思考やアイデアをオープンに受け入れる精神を持っているだろうか?
4. 大きな意味での健康を気にかけているか?:組織そのもの、そして組織に属する人たちの健康について、等しく注意を払っているだろうか?
5. 行動する際の意思決定の方法は?:これまで知らなかった、新しい情報に基づいて行動を起こしているか? 配下のチームは、イノベーションと反復を適切に行っているだろうか?
より意識の高いリーダーシップを身につけ、関わるすべての者が成功できる、健全な企業文化を醸成するには、以下に挙げる5つの要素に関するスキルや習慣の構築を最優先事項にしよう。
1. 理想を共有する:チームメンバーが「下ばかり向いて」しまい、より広い視野を持つことを忘れてしまうことはしばしばある。自分が属している状況を、より大局的な見地から改めて見るために大切なのが理想だ。
ビジョンやミッション、価値観など、さまざまなタイプの理想を1つにまとめ、日々の業務に落とし込んでいくのがリーダーの務めであり、チームメンバーにとっては、自分が時間や気力を費している対象が何なのか、改めて理解するための手助けになるだろう。
2. 生産的な人との関わり:周囲の人と生産的な形で関わっていけるリーダーは、常に高圧的な態度の上司よりも、メンバーから敬意を得られるだろう。すべてのレベルの社員と、常に前向きで生産的な意思疎通ができる上司のもとであれば、コラボレーションの効率が大幅にアップする。
マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)も、こう指摘する。「自分の周囲に作り出すエネルギーは、人の最も重要な属性だ。長い目で見ると、EQはIQにまさる。周囲の人のエネルギー源になれない者のもとで、達成されることなどほとんどない」