各都市でロックダウンが行われた米国では、公立学校およそ5000万校が1年半近く、対面での授業を中止することとなった。その後に行われた数多くの研究は、この対応は子どもたちの多くに精神的・心理的な悪影響を及ぼしたと指摘している。
米国医師会(AMA)が発行する医学誌、JAMA小児科学に発表された研究結果によると、社会的孤立と友人同士の交流の減少は、子どもたちの間にうつ病や不安障害、ストレス、暴力を広げることにつながったとみられている。
また、CDCのデータは、思春期の子どもたちの自殺未遂は2020年、前年から31%増加していたことを示している。自殺未遂後、病院の救急外来で受診した12~17歳の女子は2021年のある期間、2019年の同時期と比べて51%増加していた。
こうした気がかりなデータが明らかになる一方、私たちはいまだに、これらが長期的に、子どもたちにどのような影響をもたらしうるのか、理解できずにいる。
学力への影響
米国では小学生の多くが、およそ1年半も自宅学習をしていたことになる。その子どもたちの学力や成績が著しく低下しても、それは当然のことだろう。
米公共放送PBSによると、小学4年生と中学2年生のおよそ数十万人を対象に実施した全米学力調査の結果、算数・数学と読解力の成績は、50州すべてにおいて低下していた。
さらに、黒人とヒスパニック系の4年生のスコアはどちらの科目でも、同学年の白人の子どもたちより低くなっていた。人種的格差と不平等は、子どもたちの成績にも反映されているのだろう。この結果には誰もが驚き、そしてさらに多くの疑問を抱かされるだろう。
遅れを取ったいまの子どもたちの成績を、パンデミック以前の子どもたちの成績と同じ程度にまで引き上げることはできるだろうか。教育者、政治家たちは、この問題にどのように対処すればいいのだろうか?
こうした問題のいずれについても、答えを出すことができるのは時間と、さらなる科学研究だけだ。
(forbes.com 原文)