海外ギャラリーとのコラボレーションを、ギャラリストやアーティストはどう捉えているのだろうか。
ACK初出展となるGallery 38(東京)は、ホーチミンのGALERIE QUYNHと組んだ。GALERIE QUYNHにとっても日本のアートフェア出展は初となる。
「GALERIE QUYNHとは展示する作品の特徴を話し合い、共通点である“光”を軸に構成を考えた。実物の作品は会場で初めて見るため、展示方法は現地で調整する難しさも。挑戦的な取り組みだったが、国際的なアートフェアであるACKに一緒に参加できたことは大きな意味がある。Gallery 38に所属する海外アーティストを東南アジアに紹介するなど、今後の展開も期待できる」(Gallery 38 堀内晶子)
イギリス人作家のオリバー・マースデンを紹介したGallery 38とGALERIE QUYNHのブース(Courtesy of ACK)
海外のアートフェアに積極的に参加している小山登美夫ギャラリーは、ニューヨークのCanadaと組んだ。小山氏によるとCanadaも日本のアートフェアは初出展。
Canadaからは国際的に人気の高いキャサリン・ブラッドフォードの作品が展示され、その横には小山登美夫ギャラリー所属の若手アーティスト油野愛子の作品が並ぶ。国際的なアートフェアという土俵で展示されることで、若手の作品が国内外のギャラリストやコレクターの目に留まる大きなチャンスになる。
「ACKは世界のトレンドを学びつつ、国際水準の中で自分の作品の現在地を考えるいい機会。素材や手法をいろいろと試しながら発展させている最中なので、フェアで面白いねと声をかけてもらい、その理由を直接聞くことが次の作品に向けてのヒントになる」(油野)
小山登美夫ギャラリーで紹介された油野愛子の作品(Courtesy of ACK)
ユニークなフェア会場のねらい
およそ30のブースがランダムに配置されたACKの会場は、まるで京都の街の中のようだ。
「ブースが整然と並び効率よく巡るのが一般的なアートフェア。さらに最近はブースに来訪することなく、リストだけを見て購入を決めるコレクターもいる。ACKの会場では迷ったり同じブースに繰り返し来てしまうことも。歩いて、迷って、出会う。アートは文明ではなく文化。あえて時間をかけることの楽しみも味わってもらえたら」(山下)
ブースがバラバラに配置された会場デザインは周防貴之(SUO代表)によるもの(Photo by Kotaro Tanaka)