日本が逆転勝利でベスト16進出 楽観視できないクロアチア戦へ

稲垣 伸寿
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試合終了の瞬間、嬉しくて飛び上がりたい気持ちだった。しかし、頭の片隅ではもやもやとした感覚も拭えなかった。

ワールドカップ開幕前、日本代表がドイツ代表とスペイン代表に勝利すると予想した人はいなかっただろう。その意味では快挙である。しかし、である──。胸を張れる試合内容であったかどうか。

強豪国スペイン代表の思惑


前半のスペイン代表は、チーム全体がまるで意思を持った1つの有機体のようだった。ディフェンスラインでパスを回し、日本代表の隙があると縦にボールを入れる。

日本代表がグループリーグを突破するには勝つしかない。だからボールを奪いに来るはずだ。その時に隙間ができる。それを狙えばいい。スペイン代表はこう考えて試合を進めていたにちがいない。圧倒的に試合を支配しながら、スペインが前半を1対0で終えたのは、これで十分だと思ったからだろう。

ワールドカップで優勝を狙う強豪国は、決勝トーナメントに入ってからの戦い方を睨んで、グループリーグの第3試合目には臨んでいる。ベスト16でどこの国と当たるのか。これからタフな試合が続くことになる。いかに怪我を防ぎ、コンディションを整えるか。スペイン代表のなかにはこんな思惑が浮かんでいたかもしれない。

スペイン代表は試合開始の段階で1勝1分、そしてコスタリカ戦の大量得点で得失点差も頭1つ抜けていた。同時間帯にドイツ代表対コスタリカ代表の試合が行われていた。

順当にいけばドイツ代表が勝つだろう。ドイツ代表が勝利しても1勝1分1敗。7点以上の大量得点を挙げなければ、日本代表に負けてもグループリーグを勝ち抜くことができる(もちろんプライドの高いスペイン人選手たちは、日本に負けるとは思っていなかっただろうが)。


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後半、堂安律選手のシュートで日本代表は同点に追いついた。素晴らしいシュートではあったが、本当に集中している世界のトップランクのキーパーだったら、どうだったろう。スペイン代表のゴールキーパーはどこか日本を見下しているような様子があった。堂安選手のシュートは素晴らしかった。しかし、ゴールキーパーの心を折るほどのシュートではなかった。
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文=田崎健太

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