ビジネス

2022.12.02 08:20

メガネと同じように、補聴器を気軽に手に取れる世界へ


橋爪:出資して以降、日本だけでなく、韓国や米国などグローバルでもOlive Unionの製品は受け入れられています。日本発で海外に通用するスタートアップをつくりたいというのは投資家なら誰もがもつ夢。それが本当にできるんじゃないかという期待感がある。オーウェンはすでに韓国では名の知れた起業家になっていて、ハードとソフトを組み合わせた革新的な製品を手がけていることから「韓国のイーロン・マスク」の異名ももっている。

オーウェン:耳が聞こえにくいというのは、孤独な気持ちにさせるもの。まだ累計の販売台数は10万台ほどですが、中長期的には1000万人以上の方に届けていきたいですし、お客様の声にできる限り寄り添っていきたい。なぜなら、これまでの補聴器は寡占市場が故に、お客様に寄り添った機器はなかったからです。

私たちは補聴に加えて、ワンタッチで音楽を聴いたり、通話したりできる機能を搭載するなど、常に製品のアップデートを続けている。ただのデバイスではなく、HaaS(Hearing as a Service)として提供していきます。

橋爪:僕たちはいま、アプリケーションを使って治療を行うデジタルセラピューティクスという領域に注目しています。Olive Unionはデバイスとアプリと組み合わせて耳に関する課題を解決していくビジネスなので、すごくポテンシャルがある。将来は耳鳴りや認知症、メンタルヘルスなどに対するアプローチも考えられますし、オーウェンにはそれができると確信しています。


はしづめ・かつや◎Beyond Next Ventures執行役員。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了後、ジャフコを経て2020年より現職。代表的な投資先はマイクロ波化学、リバーフィールド、Biomedical Solutionsなど。(写真左)

オーウェン・ソン◎Olive Union 代表取締役社長。サムスン電子でプロダクトデザイナーとして活躍。コロンビア大学大学院で建築学の修士課程を修了。2016年7月にOlive Unionを韓国で創業、19年5月に本社を日本に移転。(同右)

文=眞鍋 武 写真=平岩 亨

この記事は 「Forbes JAPAN No.098 2022年10月号(2022/8/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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