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2022.12.05 08:10

医療業界の「破壊」を後押しするJPモルガン

Photo by Justin Sullivan/Getty Images

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JPモルガンは重要な金融機関のひとつであり、世界中のさまざまな分野で投資や金融サービスを手がけている。医療分野では2019年に、アマゾン、バークシャー・ハサウェイとの共同事業として「ヘイブン(Haven)」を設立した。患者に最適な医療を適正な価格で提供することを目標に掲げる同社は当時、メディアで大きな注目を浴びた。

同社は2021年に閉鎖されたものの、JPモルガンは同年、単独で「モルガン・ヘルス」を立ち上げている。「JPモルガンの健康保険が適用される従業員とその扶養家族28万5000人や、雇用者負担の保険の対象となっている米国内の大勢の人の医療」を改善していくことを目標に掲げ、「医療の成果や質、費用、公平性を向上させた医療提供への新たなアプローチ」を広げていくことをミッションとする。

モルガン・ヘルスはまた、在宅医療や遠隔医療、医療データ解析など、医療分野にポジティブなディスラプション(破壊)を起こしている有望なヘルスケア企業への投資も積極的に行っている。同社は最近、ウォルマートで健康・ウェルネス担当の執行副社長を務めたシェリル・ピーガスを迎え入れている。

課題山積の医療分野に潜むビジネスチャンス


医療分野には、JPモルガンに限らず金融機関が関心を強めている。医療機関はここ数年、非常に低い利益率のほか人手不足、コスト増、不安定な需要、負担の大きい設備投資など複合的な課題を抱え、厳しい状況が続く。

こうしたなか、医療分野の投資で急速に存在感を高めているのがプライベート・エクイティ(PE)だ。PEファンドによる医療分野への投資額はここ10年で急増しており、現在は年1200億ドル(約16兆6000億円)近くに達する。

金融機関が医療分野への参入に意欲的なのは、医療提供の改善や意義のあるディスラプション、有望な投資収益率といった大きなビジネスチャンスがあるとみているからだ。

モルガン・ヘルスのような事業は、医療分野で新たな価値を創造しようとする企業が資金やリソースを調達するのに役立つため、現在の医療業界にとって非常に重要なものだ。たとえばモルガン・ヘルスが出資するヴェラ・ホール・ヘルス(Vera Whole Health)は、従来のプライマリーケアや医療連携のモデルに変革を起こそうとしている。

モルガン・ヘルスのダン・メンデルソン最高経営責任者(CEO)はヴェラ社への出資について、「優れたプライマリーケアや、ばらばらになりがちな医療システムを医療関係者がうまく使いこなす新しい方策を生み出し、効果的な医療連携モデルを構築することが目標だ」と述べている。うまくいけば、モルガン・ヘルスはこの投資で学んだことを生かして、さらに多くの患者の医療アクセスを向上していくことが期待できそうだ。

モルガン・ヘルスによるヴェラ社への出資は、次世代の医療を大きく改善する可能性を秘めた投資のほんの一例にすぎない。こうした投資のチャンスはほかにもたくさんあり、今後、JPモルガンがその資金やリソースを利用してどう医療提供の向上につなげていくか注目したい。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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