「(金価格は)向こう5年くらいの間に過去最高値をつけると、わたしたちは引き続きみている」。市況商品のコンサルティングを手がけるCPMグループの創業者でマネジングパートナーのジェフ・クリスチャンは、最近公開した動画のなかでそう語っている。
クリスチャンは金地金相場が昨年から今年にかけて、年平均では過去最高値で推移してきたことも指摘した。
足元の金価格は1トロイオンス1752ドル前後で、2020年8月7日につけた最高値の2067ドルから下がっている。ただ、これらはその日の終値だ。ほとんどの投資家にとって重要なのは、クリスチャンも言及している平均価格である。そして、こちらの価格はなお上昇しているのだ。
金価格に連動する上場投資信託(ETF)「SPDRゴールドシェア」の価格チャートをみてみよう。2020年後半から今日まで、とくに過去10年の大半の期間に比べると、価格が高止まりしているのは一目瞭然だ。
金相場は2020年に政府の新型コロナウイルス対応を受けて大幅に上昇したが、最近はもみ合う展開が続いている。
クリスチャンによると、投資家にはいまもさまざまな懸念材料がある。それでも重要なのは、数カ月前に比べると彼らの懸念が薄らいできているという点だ。たとえば米国のインフレ率はピークに達した可能性があり、4〜5%まで下がるとみられる。また、米経済の成長は今年前半よりも後半のほうが力強くなっている。
CPMは来年の本格的なリセッション(景気後退)入りはないと予測している。地政学的な緊張も以前よりは和らいでいる。
「(懸念すべきことは)まだたくさんある」とクリスチャンは言う。国家間の協力にほころびが生じる可能性がある。中国では国民の不満の声が噴出している。欧州ではイタリアで右派の新政権が誕生した。英国では政府とスコットランドの分離独立派の間で緊張が高まっている。
クリスチャンの言うとおり「問題は山積している」。つまり状況は混沌としていて、それは今後、世界全体に波及していく可能性もはらむ。
もちろん、これらは金にとっては良いことである。
(forbes.com 原文)