日本のオリーブオイル消費量は、ヨーロッパ諸国やアメリカと比較すると依然として大きな差があるが、アジアでは1位と多くの人に親しまれている。
今回は、そんな人気食材オリーブがサステナブルである理由と問題点を解説していく。
オリーブの産地はどこ?
オリーブオイルの主な産地としては、スペイン、イタリア、ギリシャ、モロッコ、トルコといった地中海沿岸の国々があげられる。
中でもスペインの生産量は圧倒的に多く、世界のオリーブオイルの約30%を生産している。
日本へ輸入されるオリーブオイルについては、イタリアからが最も多く、その次がスペイン。
地域や収穫時期、摘み方、搾り方によって風味・特徴が違ってくる。
ほとんどが日本から遠く離れた地で栽培されるオリーブは、どういった点で環境にやさしいのだろうか?
①大量のCO2を吸収する
オリーブ畑は、オリーブオイルの製造により発生する温室効果ガスの10倍のCO2吸収効果がある。
オリーブの木は土壌浸食を防ぎ、1日あたり平均2kgのCO2を吸収するため、地球温暖化の防止につながるのだ。
以上のことを踏まえ、2021年6月に国際オリーブ評議会(IOC)と国際連合食糧農業機関(FAO)は世界的にオリーブ分野を支援するための技術的・科学的協力を強化することを目的とした協定を締結した。
②有機栽培が盛んに行われている
オリーブは、2018年のスペイン国内の有機栽培面積が20万ヘクタールに及ぶ、代表的な有機栽培作物である。
ヨーロッパ全体のオリーブの有機栽培面積は、45万ヘクタールに達する。
以前は生産効率が最優先される生産モデルが採られ、殺虫剤や除草剤が多く使用されていたが、EUの何十年にもわたる取り組みにより、今では何百種類もの化学薬品の使用が禁止されるようになった。
③固有の生態系を形成している
オリーブ畑は、スペイン全体の栽培面積が250万ヘクタールに及ぶ、スペイン最大の人工林である。
これらの人工林には多様な鳥類が生息し、固有の生態系を形成している。
スペインのアンダルシア州の40のオリーブ畑を対象とした調査では、イベリア半島で確認されている全生物種の4分の1に当たる、119科に属する165種の鳥類が特定された。