ビジネス

2022.12.01

カインズ流「ハリネズミ経営」で、新生ハンズはどう磨かれるか

「手」の漢字をモチーフにしたハンズの新ロゴ 新生ハンズはどう変わるのか


例えばイギリスなどヨーロッパでは、家族で2年に1回は壁の色の塗り替えをして、家にはそのためのハケなどの道具が常備されているのが一般的なんですね。日本文化がそこに辿り着くためにはさまざまな障壁があり、時間がかかるとは思いますが、シンプルに暮らしを一歩ずつ自分らしく工夫して豊かにするのは楽しいことだと伝えていくのが「DIY文化の共創」だと考えています。

「コト消費」と言われて久しいですが、消費が次のフェーズに入り、お客様も素敵なものにあふれたおしゃれな暮らし以上のものを求めていると思うんですよね。手間がかかるのはいやだけど、もっと自分らしく創意工夫したい。そしてお金をかけてやるよりも、身近な人と楽しみながら活動する、といった地に足のついたおうち時間の過ごし方というカルチャーが根付いてきていると思います。この点を磨き上げていく活動は、カインズもハンズも両方が目指していきたいところです。来年、再来年にかけて店舗改装が進んだら、お店でもお客様にお伝えしていきます。

二極化する買い物のあり方を融合


──オンライン販売で生活用品などなんでも買えるようになりましたが、これからの店舗のあり方は。

国内外の事例を見ていると、お客様はデジタルとお店の買い物、両方を欲していると考えます。オンラインでは、いますぐ欲しい訳ではないけれど明日までに欲しいものを買うという効率的な買い物を、そして週末には店で楽しむエンタメ、時間消費としての買い物を。店舗ではお客様が新たな気づきを得られるように、二極化する買い物のあり方をうまくコンビネーションさせるようにすることが大切です。

例えば、週末に家族みんなで買い物をする時に、お母さんは日用雑貨を買いながら、お父さんはDIY用品を、子どもはフードコートのような場所で過ごす。これがカインズのエンタメの世界観です。

ハンズはまたちょっと違いますよね。もっと趣味に合ったものと出会ったり、自分の暮らしにこだわりたいと思って行くと、知らなかったオーラルケアの商品があったり。必ずしも家族向けではなく、エンタメのあり方は違うと思いますが、デジタルと店舗を融合させたサービスづくりをしていくことが共通理解です。

──名古屋で新しいハンズ1号店がオープンしました。今後の展開について教えてください。

名古屋のお店はハンズが新しい企業ロゴを使った一号店として、新しいハンズに向けた色々な工夫がされています。来年以降、各店舗で改装が進み、7つの価値*が伝わるように、売り場と品揃えを「尖らせる」ことになると思います。

ハンズには大きい店からコンパクトな店までさまざまありますが、特に大きな店はハンズの目利き力を存分に発揮してハンズらしい文化の芽やこだわりを発信・展開していくことになると思います。これまでずっと、ハンズを愛して頂いたお客様にも、新しいお客様にも、楽しみにして頂けたらと思います。

*7つの価値とは「新しい文化の芽が見つかる」「クリエイティブが始まる」「ホンモノにこだわる」「わたしらしく毎日をつくる」「丁寧に暮らす」「季節を大切にする」「アガル楽しさに出会う」。

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文=督あかり

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