求められるエネルギー政策の再構築
節電の推進と並行して、岸田首相は国内の原子力発電所最大9基をこの冬に稼働させる方針を表明しています。これにより、日本全体の電力消費量の約10%に相当する電力が、確保できるとされています。運転再開が予定されているこの9基は、原子力規制委員会の安全審査に合格し、規制基準を満たしたものです。
原子力発電は、電力の安定供給には有効な方法の一つである一方、安全性や核のごみなどの課題も抱えています。
カーボンニュートラルを進めながら、エネルギーの安全保障を確立するためには、あくまで再生可能エネルギーの導入を加速させることに主軸を置きながら、エネルギー政策の全体像を再構築させる必要があるでしょう。勢いを失いつつある太陽光パネルや蓄電池などの国内産業を活性化して、エネルギー自給率を高めていくこともまた、この危機をチャンスに変える重要な要素となるかもしれません。
来年4月には、G7気候・エネルギー・環境大臣会合が札幌で開催されます。安全・安心かつ持続可能なクリーンエネルギーのサプライチェーンを強靭化することも重要課題の一つとして焦点が当てられます。議長国である日本は、このエネルギー危機を季節的なものとせず、長期的な課題として捉え、エネルギー戦略の見直しをする時期を迎えています。この世界的なエネルギー危機を乗り越えるため、日本にはなにができるでしょうか。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
過去記事はこちら>>