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2022.12.01 18:00

「宇宙保険」で挑戦を後押し【伊東せりか宇宙飛行士と考える地球の未来#13】

伊藤せりか 宇宙飛行士と考える地球の未来

伊藤せりか 宇宙飛行士と考える地球の未来

「宇宙開発」と一口に言っても、開発しているものやその目的はさまざま。

このシリーズでは、ワープスペースのChief Dream Officerに就任した伊東せりか宇宙飛行士と一緒に宇宙開発の今と未来を思索していきます。

第13弾となる今回のテーマは、宇宙開発企業の成長です。損害保険を通じて世界の宇宙開発を支援する、損害保険ジャパン 航空宇宙保険部 営業課の伊藤穂乃香さんをゲストに迎え、せりか宇宙飛行士と議論しました。


宇宙開発企業の挑戦を支える「宇宙保険」とは



©︎小山宙哉/講談社

せりか:伊藤さん、こんにちは! 今日は「宇宙保険」について教えていただけるということで、とても楽しみにしていました。


損害保険ジャパン 伊藤穂乃香さん

伊藤さん:よろしくお願いします!

わたしは航空宇宙保険部 営業課で、企業向けの営業を担当しています。宇宙保険のことは、就職活動中に業界研究をしていて知りました。ロケットや人工衛星など高額なものを垂直方向に打ち上げるなんて、ものすごく大きな挑戦だと思ったことを覚えています。

せりか:伊藤さんが取引されている企業は、やはり日本の企業が中心なんですか?

伊藤さん:日本企業だけでなく、海外との取引もあります。宇宙保険事業の業務内容から説明しましょう!宇宙保険事業は、大きく分けると「保険引受」と「キャパシティの提供」の2種類があります。


©︎損保ジャパン

まずは「保険引受」についてです。自国外の保険会社による保険の引受を規制する法律・法規での取り決めのもと、契約者は自国の保険会社の保険に加入します。なので、私たち損保ジャパンが宇宙保険を引き受けるのは、日本の衛星オペレーターさんや衛星メーカーさんが対象です。

宇宙保険と一口に言っても、衛星を工場からロケットの射場まで輸送する間に起こる損害を補償する「打上げ前保険」やロケットのエンジンが点火(※)されてから衛星が分離されるまでを補償する「打上げ保険」、衛星がロケットから分離されて以降の損害を補償する「寿命保険」など、いくつか種類があるんですよ。

※補償開始の起点は、打ち上げサービス事業者との契約内容により異なります。


©︎損保ジャパン

例えば、皆さんが自動車保険に入るときは、パンフレットに載っているプランを選んでいるのではないかと思います。宇宙保険の場合は、衛星事業者であるお客様のミッションがどのようなものなのか、どのロケットでいつ頃打ち上げる予定なのかなど、ヒアリングと対話を重ねながらプランを作り上げていきます。

せりか:宇宙保険はミッションに合わせたプランをオーダーメイドで作るんですね。宇宙保険はほかの分野の損害保険と比べると、金額の規模が大きいのではないかと思います。宇宙保険ならではの特徴はありますか?

伊藤さん:そうですね。宇宙保険のように、発生し得る一つの事故の規模が大きい分野では「再保険」を手配します。

そして、損保ジャパンでは海外の保険会社が引き受けた宇宙保険を再保険という形で引き受ける……つまり、「保険のキャパシティを提供する」という活動も行っています。日本では衛星を打ち上げる企業は少しずつ増えてきているところですが、アメリカやヨーロッパでは打ち上げられる衛星の機数が多いので、定期的に再保険を引き受けているとマーケットの状態がわかってきます。
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