H&Mはこの店舗を、スタイルを見つけられる場所であり、実験室でもあるととらえている。4~12週ごとに新しいテーマが入れ替わるファッションの「回転ハウス」は、同ブランドとしては初めての試みだ。
消費者のロイヤルティが目減りし、価格一辺倒になりつつある時代にあって、小売事業者はあの手この手で顧客にはたらきかけ、引きとめをはかっている。
H&Mは、新店舗で展開される多様なバージョンを「チャプター」と呼んでいる。それぞれのチャプターには異なるルック&フィールがあり、チャプターが変わるたびに、ファッション、ビジュアル、体験型イベント、地元パートナーの商品などが一新される。H&Mは、「スタイルと同じスピードで動く、新たなストアコンセプトに命を吹きこむ」と説明している。
最初の「チャプター」となるブラッスリー(フランスの居酒屋的な飲食店のこと)は、冬のフランスのレストランにインスパイアされたものだ。来店者を心地よい場所へいざない、午後や晩の時間をのんびり過ごしてもらおうというコンセプトだ。
ここでは、H&Mのホリデーコレクションのファッションのほか、地元ウィリアムズバーグの店が扱う商品がキュレーションされ、フレグランス、家庭用品、ビンテージ品、グルメフード、アクセサリー、美容品など、あらゆるものが販売される。
H&Mウィリアムズバーグ店を訪れた客は、手軽なショッピングを実現する最新の小売技術も体験できる。大規模に導入されたRFIDのおかげで、店舗従業員は、在庫やサイズのオプションの全貌をリアルタイムで把握できる。