経済・社会

2022.11.29 13:15

WW2で活躍したウクライナ軍の榴弾砲は今でも現役で活躍中

Getty Images

Getty Images

ウクライナ軍の最新榴弾(りゅうだん)砲は、最も古い榴弾砲の1つでもある。リトアニアが提供したM101榴弾砲をウクライナ軍が最前線で使用しているところを撮影した初の動画が11月27日にネット上に登場した。

M101 105mm榴弾砲は第二次世界大戦中、米軍と同盟軍の標準的な軽榴弾砲だった。年季が入った設計はその有効性が裏づけられている。重さ約2.5トンのM101は重量、射程距離、精度のバランスがほぼ完璧な名砲だ。

M101は80年前に戦場で活躍した。経験豊富で士気の高い砲手の手にかかれば、現代でも戦場で威力を発揮する。特に、そんな砲手が古い榴弾砲と最新のドローンを組み合わせればなおさらだ。

ウクライナ軍のM101はリトアニア軍の兵器庫にあったものだ。リトアニアは2002年にデンマークから54門の牽引式大砲を調達し、現在はドイツとフランスの最新の自走式155mm榴弾砲に取り替えている。今でもM101を使用していたり、予備として保管していたりする国は数十カ国ある。

数は未公表ながら、リトアニア政府はウクライナに余剰のM101を提供することを約束し、9月に初回分が届けられた。戦争が始まる前にウクライナにあった旧ソ連製の武器の在庫は、西側諸国が提供する新旧の武器に取って代わられつつあり、M101はそうした豊富な西側諸国からの武器に含まれる。

M101は旧式だが、北大西洋条約機構(NATO)の軽砲の標準である105mm砲弾を発射する。米国と英国はウクライナに最新の105mm砲弾を何万発分も供給している。

M101の射程距離は約11キロで、旧ソ連の100mm野砲の射程距約8キロより長い。それでもM101の砲台は、例えば152ミリ砲弾を約24キロ先まで飛ばすロシアの2S19砲台との戦いでは圧倒的に不利だ。

しかし、ウクライナ軍の指揮官がM101を対砲撃戦の任務に活用するのは愚かなことだ。榴弾砲はもともと歩兵を支援するものだ。トラックや装甲トラクターに牽引されたM101砲台は歩兵のすぐ後ろにつき、歩兵がトラブルに見舞われると設置・射撃し、敵の大砲が反撃する前に撤収して移動する。

いまや世界でも屈指の経験を持つウクライナ砲兵の、新たに投入された旧式M101の独創的な使い方に期待したい。特に、年代物の榴弾砲と最新の照準技術の組み合わせに注目が集まる。

第二次世界大戦中、M101砲台の活用は双眼鏡、地図、無線機で目標を設定し砲撃を修正する監視兵に頼っていた。現在、ウクライナ軍は監視兵に代わって、無人航空機を主に使用している。

ドローンがロシア軍の上空を飛び回り、正確な座標を伝えることで、旧式のM101の反応と精度は最初に登場したときよりも向上するはずだ。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事