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2022.11.29 08:30

中国のEVメーカーBYD創業者が語る「テスラを追い抜けた理由」

BYD 王伝福会長(Getty Images)

BYD 王伝福会長(Getty Images)

販売台数でテスラを追い抜いた中国の電気自動車(EV)メーカー「BYD」の王伝福会長は、「経営者は行動することに重点を置き、あまり喋らないことが大事だ」と起業家たちにアドバイスしている。

深センに本社を置くBYDは、2022年上半期にEVとハイブリッド車を約64万1000台販売し、テスラの56万4000台を上回った。同社の2022年1~6月の純利益は、上海のロックダウンによるサプライチェーンの混乱にもかかわらず前年同期の3倍に急増した。

BYDがEV業界で世界のトップに立った背景には、革新的なテクノロジーのポートフォリオがあると王は述べている。同社は、傘下のBYDセミコンダクターでEV向けのチップを製造しており、競合企業がチップ不足にあえぐ中でも、それを回避できた。調査企業のアライド・マーケット・リサーチは、世界のEV市場が2030年までに8240億ドルに達すると予測し、「垂直統合がBYDに長期的な力を与え、小規模なライバルを駆逐する」と述べている。

BYDの今年1〜9月の純利益は、前年同期比で約4倍の13億ドルに達し、時価総額は約1000億ドルと、テスラには及ばないものの、米国のフォードとGMの時価総額の合計に匹敵する。フォーブスは中国で11番目の富豪である王伝福の保有資産を177億ドル(約2.5兆円)と試算している。

BYDの売上の約70%は中国が占めているが、同社は積極的な海外展開を進めており、アジアでは日本とタイ、インドで新モデルのEVを発売した。10月に同社はパリモーターショーで3つのEVを発表し、欧州での販売も拡大する計画だ。世界中に30以上の生産拠点を持つBYDは、今年少なくとも150万台のEVを販売する見込みで、2023年には400万台を目指すと報じられている。

BYDの強みの一つは、ブレード電池と呼ばれる次世代型のバッテリーで、従来の電池とは異なりコバルトを用いずに、リン酸鉄リチウムイオン電池を用いることで低コストと安定性を実現した。同社は、この電池を自社の車に搭載するだけでなく、テスラなどの他の自動車メーカーにも販売しているという。

中国で最も貧しい省の1つとされる安徽省で1966年に生まれた王は、苦学の末に電池技術の学士号と修士号を取得し、北京有色金属研究所で研究職についた。その後、深圳に渡った彼は1995年に携帯電話のバッテリーを作る会社としてBYDを設立。社名のBYDは“Build Your Dreams”の頭文字をとったものという。その後、同社は2003年に小さな自動車メーカーを買収し、自動車分野に進出した。

BYDは、競合よりも低価格なモデルを作ることを戦略としており、NioやXPengなどの中国メーカーが高級車市場をターゲットにする中で、BYDの車両の大半は1万3000ドルから4万7000ドルの価格帯で販売されている。
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編集=上田裕資

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