道具はあっても、それをどう使うかがわからないだけなのだ。ラヘジャは「AIの導入は、モデルをトレーニングする労力と比較した場合の、それが生み出す価値とROIに左右されます。なお、モデルをトレーニングするためには、強力なデータパイプラインを設定するための適切なリソースとスキルが必要です」という。「機械学習のアウトプットは、データ、アルゴリズム、進化によって変化します。未知の判断が不測の事態を招く恐れがあることも、主流派の企業が慎重になっている要因の1つです」
例としてラヘジャは「AIを利用したローンの申し込みが、モデルの更新後に母集団の特定の部分を拒否した場合、それはエラーもしくは、データやモデルに導入された固有のバイアスの可能性があります」と付け加えた。
これには、AIデータの「鮮度」も大きく関係している。「AIは、実は腐りやすい商品なのです」とセングプタはいう。「もし、AIを作るのに数カ月かかるとしたら、それは数カ月前のデータで学習させていることになり、その間に世界は変化しています。つまりでき上がったAIは最新版ではないということです。もし価値を得たいのであれば、数カ月ではなく数日でAIを作って展開し、世界の変化に合わせて変更していく必要があります」
AIの採用を促進するために開発できる、革新的なビジネス ケースは数多く存在する。ラヘジャはAIを使う例として「フォーマットやセマンティックのチェックを行うために、システムに入力される顧客データを分析することができます。また、自然言語処理とCRMのための自動チャットボットという例もあります」という。
「AIの導入はデータサイエンティストの有無に制約されています、その問題を解決するようなモデルトレーニングを行うことはできません」とセングプタはつけ加えた。「私たちの多くは、AIにビジネスを教えるのではなく、ビジネスユーザーがAIを話せるようにしようとしています。しかし、ビジネスユーザーにPython(パイソン)を学ばせる前に、立ち止まってこう自問してください。『なぜAIは私のビジネスニーズを理解して、Pythonコードを自動生成できないのだろう?』と。インターネット革命は、みんながWorld Wide Web(ワールドワイドウェブ)と対話するためのコードを学んだから起こったのではなく、Netscapeブラウザがほとんど誰でも使えるものだったから起こったのです」
(forbes.com 原文)