「人工知能がビジネスの言葉を話す」べきで、その逆ではない

AIが果たす役割はビジネスそのものだ(Getty Images)

地球上のほぼすべてのビジネスリーダー(94%)が、今後5年間の成功にはAI(人工知能)が不可欠だと考えている。しかし、Deloitte(デロイト)のAIに関する最新の調査によると、多くの企業がまだ期待した価値を達成できていないことがわかる。2022年、AIを「目標に達していない」 とする回答者の割合は昨年に比べて29%増加している。

デロイトの調査によると、AIのインパクトを低下させる課題として、そのビジネス価値を向上させるための困難や、経営陣の全面的なコミットメントの欠如が挙げられている。技術的な問題よりも、このような組織的な問題が進展を妨げているというのが、業界のリーダーや現場の観察者たちの共通認識だ。

重要なポイントは、AIが顧客にサービスを提供し、ビジネスの中心に顧客を置けるように手助けをする必要があることだ。

Aible(エイブル)のCEOで創業者であるアリジット・セングプタは、ほとんどのAIプロジェクトが価値を提供できないのは「正しい予測が生み出す利点、誤った予測が引き起こすコスト、マーケティング予算規模の制約など、ビジネスの現実から出発していないためです」と語る。「もしAIプロジェクトが実験室での実験のように見えたり感じられたりして、専門家が収益、利益、コストではなくログロス(機械学習の評価指標)のようなことばかりを話しているなら、AIはほぼ確実に結果を出せないでしょう」

重要なのは、意思決定者がAIに慣れ親しみ、知識を深め、AIに対する組織のサポートを構築し、AIがどのように顧客に貢献できるかに直接焦点を当て続けることだ。Boomi(ブーミー)のチーフエンジニアリングオフィサーであるラジェシュ・ラヘジャは「AIベースのアプローチがわかりやすい顧客価値に直接結びつくなら、組織が採用する可能性が高くなります」と述べている。「たとえば、あるビジネスプロセスにおいて、学習したベストプラクティスに基づき、次に何を実装すべきかを示すことができるレコメンデーションエンジンは、採用可能な製品をただ多く紹介するエンジンよりもはるかにビジネスにとって有益なものとなります。どちらも高度なAIモデルが必要ですが、前者は明らかにお客さまへの価値を生み出すのです」
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翻訳=酒匂寛

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